2019 Fiscal Year Annual Research Report
Theory of automorphic forms and quadratic forms
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17H02834
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 保 京都大学, 理学研究科, 教授 (20211716)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 保形形式 / 保型表現 / 二次形式 / エルミート形式 / 退化Whittaka関数 / Gross-Keating不変量 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は主としてエルミート形式のGross-Keating不変量についての研究を継続した。エルミート形式のSiegel級数はGross-Keating不変量,変形Gross-Keating不変量,および補助的なHasse不変量で決定されると考えられる。今年度は室蘭工業大学の桂田氏との共同研究により,これらの三つ組(GK三つ組)を公理的に特徴づけ,GK三つ組の理論を整備した。この研究は現在論文を準備中である。今年度の研究により,与えられたHermite加群から有限体上のシンプレクティックおよび二次空間を経由してGK三つ組みを構成することができた.これについては現在論文を執筆中である.また、GK三つ組に対してある種のLaurent多項式を定義することができる。このLaurent多項式が与えられたエルミート形式のSiegel級数と一致すると考えられる.これについても現在研究を継続中である. また、Siegel級数の応用として、一般のHilbert-Siegel保型形式のリフティングを考察した(山名俊介氏との共同研究)。これには半整数の重さをもつHilbert保形形式のKohnen plus空間の理論が応用できる。これにより、Siegel保型形式のリフティングの理論が一般の総実代数体上のHilbert-Siegel保型形式に拡張できたことになる。 令和元年度は秋に長野県白馬村で開催された第22回整数論オータムワークショップおよび2020年1月に数理解析研究所で開催された保型形式の研究集会に参加し,保型形式・保型表現論の研究者の間で広く研究成果を交換して討論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エルミート形式のGross-Keating不変量の研究で進展があった。エルミート形式のGross-Keating不変量の研究において、エルミート形式にはGross-Keating不変量の他に変形Gross-Keating不変量の導入が必要であるが,実は変形Gross-Keating不変量の方が定義が簡単であり,より扱いやすい対象であることが明らかになっていたが,これがエルミート加群から,有限体上のシンプレクティクおよび二次空間を経由して自然に構成されることを示した。これによりエルミート形式のGross-Keating不変量の研究がさらに大きく進展したと思われる。このために有限体上のフィルター付き二次空間の理論を考察し、フィルター付き二次空間から自然な方法でGK三つ組が構成できることが分かった。とくに標数2の場合にも標数が奇数の場合と同様の理論構成が可能であることが分かった。実際、標数2に場合にはアルフ不変量が判別式の役割を果たし、フィルター付き二次空間の不変量が定義できる。二次形式の場合にもGross-Keating不変量を同様の方法で構成することが可能であると思われるが,これについては今後の研究課題としたい.これらは室蘭工業大学の桂田英典氏との共同研究であり、当初の研究目標のおよそ80%程度を達成したと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においては引き続き桂田英典氏との共同研究によるエルミート形式のジーゲル級数の理論を完成させ、研究成果の発表を行うことを目標にする。令和2年度はコロナ危機により研究集会等への参加がほぼ不可能であると思われるので、オンラインでの討論により共同研究者と密に連絡を取り合い研究を進めたい。そのために共同研究者の分の含めてオンラインによる研究環境を整えたい.また,移動の制限により文献へのアクセスが困難になることも考えられるので,電子書籍等の購入なども積極的に進める予定である.
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