2017 Fiscal Year Annual Research Report
Rigidity of non-isometric actions of discrete groups and non-linear spectral gap
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17H02840
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
納谷 信 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (70222180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井関 裕靖 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (90244409)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 離散群の剛性 / ランダム群 / 非等長的作用 / アフィン作用 / 非線形スペクトルギャップ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、庄田敏宏氏(佐賀大学教育学部)とともに、Bolza曲面とよばれる種数2の閉リーマン面上のある特異計量(リーマン面の構造と両立するもの)が、面積一定という条件下でラプラシアンの第1固有値を最大化するというJacobson-Levitin-Nadirashvili-Nigam-Polterovichの予想を肯定的に解決した。 今年度はこの成果を論文にまとめてジャーナルに投稿した。また、種数3以上の場合の考察を開始した。最大化計量は(高次元)球面への第1固有関数による極小はめこみから誘導される計量として与えられることが知られているので、球面内の極小閉曲面の構成について準備的考察を行っているところである。具体的には、3次元球面の場合のLawson, Karcher-Pincall-Sterlingによるプラトー問題の解を折り返して極小閉曲面を得るという手法が高次元の場合に適用可能であるかについて検討した。まずは、プラトー問題の解の存在が問題であり、これについて考察を進めている。 また、非線形スペクトルギャップと関連して、位相的にフラーレンと同型なグラフ上の重みを、線形スペクトルギャップを最大化するように定める問題について考察を行った。双対問題として、グラフのユークリッド空間への最適埋め込みの問題が現れるが、これと合わせて考えることにより、問題の簡約化を得るところまで進めた。この研究は近藤剛史氏(鹿児島大学理工学部)、五明工氏(名古屋大学大学院多元数理科学研究科博士後期課程2年)との共同研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
離散群のヒルベルト空間へのアフィン等長作用に対して、それに関して同変な離散群からヒルベルト空間への離散的調和写像の存在定理を強化する方向で研究を進めたが、はかばかしい成果は得られなかった。一方、有限グラフの線形スペクトルギャップを最大化する問題について考察して解決への見通しを得るとともに、その連続モデルと捉えられる問題について顕著な成果を得、論文の執筆・投稿まで終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、有限グラフの線形スペクトルギャップを最大化する問題を解決し、その非線形スペクトルギャップの研究への応用を目指すとともに、連続モデルの研究、とくに第1固有値を最大化する計量の候補を与える極小閉曲面の構成に取り組む。また、離散群のヒルベルト空間へのアフィン等長作用に関して同変な離散群からヒルベルト空間への離散的調和写像の存在定理を強化する方向での研究を推進するとともに、ヒルベルト空間をバナッハ空間に置き換えて非等長的作用に関する固定点定理を一般化する方向でも考察を進める。
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