2017 Fiscal Year Annual Research Report
射影多様体の小林擬距離と高次元ネヴァンリンナ理論の研究
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17H02842
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山ノ井 克俊 大阪大学, 理学研究科, 教授 (40335295)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高次元ネヴァンリンナ理論 / 正則写像 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の研究実績の概要は以下の通りである。まず、アーベル多様体から豊富因子を除いた空間が小林双曲的であることの証明を完成させた。この問題は1970年代から当該研究分野で話題とされてきたもので、一般的な因子を除けば小林双曲的になることは1970年代にグリーンによって証明されていたが、因子が部分アーベル多様体の平行移動を含む場合が問題として残されていた。この問題に対しては、1990年代にシウとユンによって、アーベル多様体から豊富因子を除いた空間がブロディ双曲的であることが示されていた。ただ、開複素多様体に対しては、ブロディ双曲性は一般に小林双曲性よりも弱い性質である。従って、本研究課題の成果によって、1970年代から話題にされてきた懸案問題を完全に解決することができたことになる。 また、この成果とは別に次のような研究を開始した。本研究課題のテーマである小林・Lang 予想および高次元ネヴァンリンナ理論は、代数多様体に対して、それを定義する連立方程式系の、複素数体上の収束べき級数解に関する問題である。そこで視点を広げて、複素数体上の収束べき級数の理論を非アルキメデス的完備付値体上の収束べき級数の理論に置き換え、リジット解析的な枠組みで小林・Lang 予想に対応する問題の考察を開始した。この方針で、ターゲットが代数曲面の場合に限ることで、研究の方向性が見出せた。この研究は、平成30年以降も継続して行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アーベル多様体から豊富因子を除いた空間が小林双曲的であることの証明を完成させた。これは1970年代から話題にされてきたもので、当該研究分野における懸案問題であった。本研究課題でもこの問題の解決が目標の一つであった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、平成29年度の成果に基づいて研究を進めていく。具体的には、本研究課題のテーマである小林・Lang 予想および高次元ネヴァンリンナ理論をリジット解析的な枠組みで、さらにターゲットを代数曲面に絞って具体的な成果を得ることを目標にする。
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Research Products
(2 results)