Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞崎 聡 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (20580492)
前田 昌也 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (40615001)
高田 了 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (50713236)
生駒 典久 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (50728342)
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では物理学, 工学に現れる非線形分散型方程式に対し, ソリトンおよび散乱という立場から研究を行っている. 研究代表者の瀬片は, gauge不変な非線形項をもつKlein-Gordon方程式の複素数値解の時刻無限大での詳細な挙動を, 解の漸近形がみたす常微分方程式を精密に解析することにより捉える事ができた. また, Jason Murphy氏, 研究分担者の眞崎氏とともに, 前年度に引き続き, 吸引的なデルタポテンシャルをもつ非線形シュレディンガー方程式のソリトンのまわりでの解の長時間挙動について研究を行った. これまでは小さなソリトンのまわりの解について考察してきたが, 今年度は, 線形の散乱理論を援用することで, 必ずしも小さいとは限らないソリトンのまわりの解の挙動について考察した. 研究分担者の前田は, Scipio Cuccagna氏とともに吸引的なデルタポテンシャルをもつ非線形シュレディンガー方程式に対し, virial型の議論をすることで質量劣臨界の場合に小さな解が時刻無限大でソリトンと分散波に分かれることを証明した. また, 非線形シュレディンガー方程式の臨界周波数付近でのソリトン解の振動を解析した. 研究分担者の高田は, 2次元非粘性成層 Boussinesq方程式の初期値問題を考察し, 最適な初期正則性のもとで長時間可解性を証明した. 研究分担者の生駒は, 質量が一定という制約条件の下,ハミルトニアンを最小化するにする関数の存在および非存在を考察した. 特に調和ポテンシャルのように強い効果を持たないポテンシャル関数と一般的な非線形項の取り扱いに成功した. また, 2つの冪乗型非線形項を持つ非線形シュレディンガー方程式に対する基底状態解の一意性および非退化性を示した. 特に1つの冪はSobolev臨界であり,周波数が非常に大きい状態を取り扱った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
吸引的なポテンシャルをもつ非線形シュレディンガー方程式の解の長時間挙動の解析が当初の計画通りに進んだ. また, 非線形シュレディンガー方程式の臨界周波数付近でのソリトン解の振動の解析や, 質量一定という制約条件の下でのハミルトニアンの最小化問題など, 本研究の主要なテーマの多くが大きく進展した.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き吸引的なポテンシャルをもつ非線形シュレディンガー方程式の解の長時間挙動について考察する. また, 一般化 KdV 方程式について, 引き続き, 解の挙動を分類するという観点から研究を行うとともに一般化 KdV方程式で培った手法をより一般の非線形分散型方程式に応用することを試みる.さらに, 分散型方程式を中心とする偏微分方程式に関する2~3日間程度の研究集会を開催し, 国内外の偏微分方程式, 数値解析の研究者と研究交流を図ることで研究を推進させる.
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