2019 Fiscal Year Annual Research Report
Probing small scale cosmology with high-resolution radio observation
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17H02868
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
井上 開輝 近畿大学, 理工学部, 教授 (70388495)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 重力レンズ / ダークマター / クエーサー |
Outline of Annual Research Achievements |
1. サブミリ波による重力レンズクエーサーのデータを用いて解析を開始し、重力レンズモデルの作成を行った。しかしながら、当初の想定に反し、再構築によって得られた光源画像中においてクエーサー自身の明るさによる副作用が著しく大きいことが判明した。その副作用を取り除くため、新しいアルゴリズムを開発した結果、副作用を最小限にとどめることに成功した。そのアルゴリズムを観測データに適用した結果、ダストやジェットによる連続波や、一酸化炭素分子の放つ輝線の画像を高解像度で再構築することができた。一酸化炭素分子の速度分散を調べたところ、クエーサーの放つ宇宙ジェットに沿って600km/sという大きな速度分散を持つことが判明した。この結果、クエーサーの放つ光ではなく、ジェットによってクエーサー内の星間ガス雲が外側に流出している可能性が高いことが判明した。クエーサーに対してこのような事象が判明したのは初めてであり、明るく輝くクエーサーの段階においても放たれたジェットが銀河形成に大きな影響を与えている可能性が示されたことは、今までにない画期的な成果といえる。
2. すばる望遠鏡を用いた銀河サーベイ(HSCサーベイ)のデータを用いて重力レンズ候補天体を探し出した。その中から、今までに知られていないほどサイズの小さいライマンブレイク銀河を光源としてもつ重力レンズ天体を発見した。また銀河群スケールの質量をもつ多重像重力レンズを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
重力レンズのモデル解析の過程で、当初の想定に反し、クエーサー自身の放つ電波による副作用の影響が著しく大きいことが判明した。研究遂行上、その副作用 をとりのぞくことが必要不可欠なため、データ較正作業を行う必要が生じた。その結果遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
クエーサー自身の放つ電波による副作用の影響を取り除くアルゴリズムを用いて重力レンズ天体の重力ポテンシャルを精度良く再構築する手法を開発する。
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Research Products
(7 results)