2017 Fiscal Year Annual Research Report
相対論的衝撃波における電子加速機構についての磁化強度σに対する包括的研究
Project/Area Number |
17H02877
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松本 洋介 千葉大学, 大学院理学研究院, 特任准教授 (20397475)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 真弘 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90241257)
加藤 恒彦 国立天文台, 大学共同利用機関等の部局等, その他 (90413955)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 相対論的衝撃波 / 粒子加速 / PICシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画では、近年我々が開発した「数値チェレンコフ不安定」を抑制可能な PIC コードを用いて、多次元相対論的衝撃波における電子加速機構に着目した研究を行う。上流磁化強度σの大きさに対して、相対論的乱流リコネクション加速、航跡場加速の役割を明らかにし、磁気乱流強度分布及び粒子エネルギースペクトルを包括的に理解することを目的としている。本年度は、1. 共同研究体制の構築、2. 数値チェレンコフ不安定の抑制法の追加実証、3. 2次元PIC計算の実施、を計画しており、これらに対する実績は以下のようである。 1. 共同開発体制については、東京大学解析スパコンであるreedbushのノード固定利用申請を行い、解析環境やデータ共有環境を構築した。PICコードの整備を行い、コードを共同利用しやすくした、などを行った。 2. 数値チェレンコフ不安定の抑制方法について、マジックCFL法(Ikeya & Matsumoto, 2015)の追加実証を行ったその結果、準相対論的衝撃波(バルクローレンツ因子が2-5)では充分に抑制できていないことがわかった。そのため、電磁場の数値解法として新たにCole-Karkkinen法を実装し、不安定の抑制特性を調べた。その結果、準相対論的状況において従来の手法に対して数倍長い時間スケールで数値チェレンコフ不安定を抑制することに成功し、幅広い相対論的衝撃波のパラメタに対して不安定に悩まされることのないプラズマ粒子コードの作成に成功した。 3. 2次元PICコードを用いて、複数の上流磁場強度σの下での相対論的衝撃波の計算の実施を行った。その結果、予想に反して、幅広いσの範囲で衝撃波面におけるシンクロトロンメーザー不安定による電磁波放射が起きることが明らかになった。その振幅は、レーザープラズマ分野で知られる航跡場加速を実現するうえで充分な強度であることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
相対論的衝撃波の2次元シミュレーションを実施し、高解像度計算を行うことで幅広い磁化強度パラメタσ領域において、シンクロトロンメーザー不安定による電磁場放射が可能であることを示した。これは、当初想定していなかった、ワイベル不安定が卓越する弱い磁場条件(低σ)でも、ワイベル不安定とシンクロトロンメーザー不安定が共存できることを発見した、予想外の結果であった。 一方、相対論的衝撃波の多次元計算で弊害となる数値チェレンコフ不安定について対処するため、新たな手法の開発をに迫られた。準相対論的衝撃波(バルクローレンツ因子が2-5程度)では、従来の手法では充分に抑制することができないことが判明したため、新たに電磁場解法としてCole-Karkkainen法を実装し、不安定の抑制特性を調べた。その結果、従来の手法に対して数倍長い時間スケールで数値チェレンコフ不安定を抑制することに成功し、幅広い相対論的衝撃波のパラメタに対して不安定に悩まされることのないプラズマ粒子コードの作成に成功した。 共同開発体制の構築については遅れが出ている。PICコードの共有についてはコードの整備を行い順調に進んでいるが、HDF5フォーマットを採択することによるデータ構造の標準化については、コードへの実装が完了していない。
|
Strategy for Future Research Activity |
標準データフォーマットHDF5で出力するプログラムモジュールのPICコードへの実装を速やかに行う。また、これまで2次元PIC計算は陽電子・電子系の下での議論であったが、今年度よりイオン・電子系での2次元計算に着手し、本コードを用いたことによる強い乱流強度とそれに伴う乱流リコネクション、及び先駆波による上流領域での航跡場加速の効率をより定量的に議論を行うべく、2次元PIC計算の大規模計算を精力的に進める。
|
Research Products
(8 results)