2019 Fiscal Year Annual Research Report
相対論的衝撃波における電子加速機構についての磁化強度σに対する包括的研究
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17H02877
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松本 洋介 千葉大学, 大学院理学研究院, 特任准教授 (20397475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 真弘 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90241257)
加藤 恒彦 国立天文台, 天文シミュレーションプロジェクト, 特任専門員 (90413955)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 相対論的衝撃波 / 粒子加速 / 航跡場 / 電磁波放射 / PICシミュレーション / ワイベル不安定 / 磁場生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでは、陽電子・電子系における相対論的衝撃波のシミュレーション研究によって、上流磁場の強度にかかわらず、普遍的に衝撃波面からの電磁波放射が起きることを明らかにしてきた。本年度においては、イオン・電子系における相対論的衝撃波の2次元PICシミュレーションによる研究を行った。
これまでと同様に、複数の上流磁化強度における電磁波放射強度の違いについて調べた。その結果、陽電子・電子系と同じく普遍的に電磁波放射が起きることを確認できた。さらに、予想外な結果も得られた。イオン・電子系では高強度の電磁波放射が伝搬するに連れ、航跡場(wakefield)が励起される。この強い静電場によって電子がエネルギーを得ることで、陽電子・電子系よりもイオン電子質量比倍強い電磁波放射が励起されることが明らかになった。また、最も高強度に励起される磁化強度の条件も質量比によって違うことが明らかになった。本成果は多次元衝撃波において高強度の電磁波放射を示した世界初の例であり、その成果はThe Astrophysical Journal誌に速報として掲載された(Iwamoto et al., ApJL, 2019)。
前年度行った世界初の3次元ワイベル不安定についてさらに複数のパラメタの下での磁場飽和強度についてまとめた。電流方向に卓越するキンク不安定との競合過程を議論し、相対論的な状況においてはキンク不安定による散逸に打ち勝って強い磁場を維持することが可能であることを議論した。本成果はThe Astrophysical Journal誌に掲載された(Takamoto et al., ApJ, 2019)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、イオン・電子系における相対論的衝撃波と電磁波放射について明らかにすることができた。また、イオンから電子へエネルギーが渡ることによる高強度電磁場放射などの予想外の成果も得られた。
ワイベル不安定についても、複数のパラメタランを行うことで、磁場生成と飽和過程についての総括的な研究を行うことができ、論文として成果にまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
イオン・電子系における相対論的衝撃波のPICシミュレーション研究を引き続き進める。特に、航跡場と電子加速の関係についてさらに理解を進める。
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