2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a direction sensitive dark matter detector with anisotropic-response scintillators via bolometric readout
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17H02884
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関谷 洋之 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (90402768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山路 晃広 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20779722)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / シンチレータ / ボロメータ / 素粒子実験 / 宇宙線 |
Outline of Annual Research Achievements |
暗黒物質検出器としてZnWO4シンチレータを利用するためには、ZnWO4 結晶内の原子核にエネルギーが付与された時のクエンチングファクター(電子に同じエネルギーが付与されたときとの出力の比)を測定することが必要である。ZnWO4 結晶の各面のクエンチングファクターを測定するため、われわれは産業技術総合研究所の放射能中性子標準研究グループの4MV ペレトロン加速器による単色中性子ビームを用いた照射実験を行なった。4 回に分けて照射したビーム照射時間の合計は8時間31分であった。使用したビームはトリチウム(T) に1.7MV で加速した陽子を衝突させることでT(p,n)反応によって全方位に中性子を放出する中性子ビームで、ビームライン上では0.885MeVのエネルギーとなる。単色ビームではあるがトリチウムターゲットの厚さなどにより0.885MeV を中心として0.050MeV 程度のエネルギー幅を持つスペクトルとなっている。このビームを用い、ZnWO4結晶内酸素原子核の150keV 原子核反跳に対する各面のクエンチングファクターを測定した。得られた異なる結晶の二面、それぞれのクエンチングファクターは0.150±0.003、0.129±0.003 であり、世界で初めて、14.0%の異方性が存在することの確認に成功した。 結晶育成においては、Zn2+サイトをMg2+に置換した(Zn1-xMgx)WO4結晶の製作を行った。Mgの置換量を増加した結晶の放射線応答特性及び結晶特性を評価した。 研究協力者の協力のもと、単色エネルギーの中性子源として使用する予定であった韓国KAISTのDD装置について、研究協力者の属する別グループの実験により想定以上の期間使用するため、年度内の使用が難しいことが急遽判明した。そこで、産総研の単色中性子ビームを使用する計画に切り替えて、実験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
韓国においてDD発生装置による中性子較正を行う予定であったが、変わりに産総研中性子標準ビームラインで較正を行い、目的を達成したため。また、Czochralski法による結晶育成は条件の最適化がより進捗し、安定して高品質のZnWO4結晶の育成が成功するようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
中性子ビームを用いた散乱実験において、より精密な測定をするために試行した飛行時間(TOF)測定によるエネルギー決定についてはビームの照射時間が足りず解析に十分なデータを取得することができなかった。22Na線源によるTOFのゼロ点測定も加え、改めて同様の実験によるTOF 測定を予定している。その実験結果も踏まえて,結晶のクエンチングファクターの原子核反跳角依存性を測定することで暗黒物質方向感度検出器としての評価を行っていく。極低温での測定も併せてすすめ、常温で確立した手法を応用し、極低温熱量計型暗黒物質方向感度検出器の評価を進める。
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Research Products
(11 results)