2018 Fiscal Year Annual Research Report
SHiP実験計画におけるタウニュートリノ物理の詳細研究
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17H02887
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小松 雅宏 名古屋大学, 教養教育院, 准教授 (80345842)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ニュートリノ / 原子核乾板 |
Outline of Annual Research Achievements |
30年度の目標としての検出器構造の決定に向けた作業を順調に行った。SHiP実験では2018年末のESPP(European Strategy for Particle Physics)への書類提出を目標として各種の検出器の最適化を行ってきた。その中で、タウニュートリノ検出器においても、そのスペクトロメーター用の磁石及び、内部構造の最適化を行ってきた。最適化に際しては、非常に高密度のミュー粒子バックグラウンドの領域に物質を置かない為の構造上の制約もあり、期待されるニュートリノビームプロファイルも考慮して検出器領域の決定を行った。 物理的な側面でも、タウニュートリノの物理の重要性としてレプトンユニバーサリティの検証が大きな意味を持って来ている。こればBアノーマリーで示唆される第3世代レプトンがからむ崩壊で標準理論から4シグマも離れた結果が複数の独立な実験で得られており、レプトンユニバーサリティの破れに対する強い示唆となっている。 しかしながら、いずれも崩壊に伴うものであり、逆向きのファイマンダイアグラムとしてのタウニュートリノによるチャーム粒子生成割合に何らかの異常がみられることが考えられる。 これはタウニュートリノ反応を大統計で検出可能なSHiP実験においてのみ可能なものであり、極めて重要なテーマとして浮上してきた。 合わせて共同研究者である東邦大学では粛々とコンパクトエマルションスペクトリメーターの開発も進めて、秋・春共に学会で成果を報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、2018年度はテストビームでのデータ収集とその解析の他に、検出器の最適化が大きな課題であったが。計画通りに検出器の最適化は進行して、現在は Comprehensive Design Report 当初計画通りに準備中である。 時に予期していなかったような事にもぶつからず、概ね計画通りに進んだと考えられる。 特に2018年末の ESPP European Strategy for Particle Physics)へのドキュメント提出が最も大きな課題でしたが、無事にドキュメントを準備して提出出来たことからも概ね順調に計画は進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はより詳細な部分の検出器の製作における技術的な課題に取り組んでいく。これまでは主に大枠の部分が大きな割合を占めていたが、今後はより細かい部分の検出器の製作等に比重が移っていく事になる。 2019年度はコンパクトエマルションスペクトロメーターの構造を如何にして作り上げていくかを検証する。 加えて、物理的な側面で、レプトンユニバーサリティの検証に対する感度の評価等も進めていく。
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