2017 Fiscal Year Annual Research Report
原子の量子増幅効果を利用したニュートリノ質量測定に向けた基礎研究
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17H02896
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉見 彰洋 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (40333314)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ニュートリノ / 原子コヒーレンス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は標的原子である Xe の準安定状態 6s ^2^[3/2]_2 に励起するためのレーザーの整備を主に行った。選択則よりこの状態への励起には E1 の3光子励起を通じてのみ可能である。高効率な励起およびコヒーレンス生成のためには狭線幅(~100MHz)かつ大強度(~mJ/pulse)の高品質パルスレーザーが必要である。原子に余分な運動量を与えないために、3つのレーザー光の波長を 596 nm の2光子と 298 nm の1光子とを反対方向から対向させてガス状原子標的に照射する系を実現した。596 nm の光は Nd-YAG レーザー (355 nm) と増幅された Ti-Sa パルスレーザー (876 nm) とを非線形光学結晶(LBO)で差周波をとることで実現した。この 598 nm のパルス光の一部を再度 LBO結晶にて2倍波 (298 nm) に変換することで、必要な 298 nm と 598 nm のパルス光を 5 mJ/pulse の強度で発生させることに成功した。準安定状態への励起の確認はこの状態から 298 nm の1光子吸収イオン化を観測することで達成できる。そのため、まずシステムチェックとして 298 nm の非共鳴3光子イオン化実験を実施し、Xeイオンの再結合後の蛍光線を分光器で観測することで、イオン化した後に 6p から 6s に脱励起する遷移を確認できた。非共鳴イオン化と準安定状態への励起を通じた共鳴イオン化の効率を optical-Bloch 方程式の数値計算で推定し、来年度にレーザー周波数を精密に掃引して励起実験を実施する準備まで至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた準安定状態への励起のためのパルスレーザー光源の整備まで漕ぎつけ、システムチェックの測定実験を実施できたので。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの光源の整備、期待されるXe準安定状態への3光子励起効率を基に、励起の達成を確認する作業に入る。準安定状態からの1光子イオン化を確認することになるが、再結合後の蛍光の検出、またはイオン化電子の捕集・検出等を並行して行い、効率の良い手法を確立する。
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Research Products
(8 results)