2019 Fiscal Year Annual Research Report
原子の量子増幅効果を利用したニュートリノ質量測定に向けた基礎研究
Project/Area Number |
17H02896
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉見 彰洋 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (40333314)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ニュートリノ / コヒーレンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、原子の励起状態(準安定状態)から脱励起する際に弱い相互作用を通じてニュートリノ対を放出する過程を検出する実験系を実現するための基礎研究として、原子コヒーレンスの生成・制御を行うものである。レーザー光によりマクロな原子・分子集団にコヒーレンスを生成することで、他粒子を放出して遷移する遅い過程を増幅できることが理論的に提案されており、それを適した原子・分子系で実現することが重要である。 本研究期間では、主に気体状の Xe 原子の第一励起状態(寿命 40 s の準安定状態)への励起に関する研究を実施した。高強度の 298nm の紫外パルスレーザー光源を開発し、電気双極子(E1)-磁気双極子(M1),電気双極子(E1)-電気四重極子(E2),2つの2光子過程によるXe原子の準安定状態への励起に成功した。またその励起状態の原子数を見積もるために、823nm の弱いプローブ光を照射しその後脱励起の際に放出される 895nm の蛍光を観測した。増幅自然放出光(ASE)などの超前方方向へ強い放射の可能性を考慮して、検出器をプローブレーザー光の進行方向に対して垂直と同軸方向の二か所に設置し光検出を行ったが、当方的な蛍光が観測されたことを確認した。理論的な M1, E2 遷移強度計算値を用いて光ブロッホ方程式の数値計算を行い、実験結果との励起数を比較することができるに至った。結果は励起数として励起レーザー1パルス当たり10^6~10^7 個の準安定Xe原子が生成できているということが明らかになった。一方で数値計算は遷移行列要素の不定性があるものの、得られた実験結果は理論予想に比べて1-3桁ほど少ないことを示すことが分かった。このような E1-M1 および E1-M2 の禁制遷移が絡む2光子遷移の理論と実験の比較ができるに至ったことは、原子コヒーレンス生成・制御の研究にとって重要なことである。
|
Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(5 results)