2018 Fiscal Year Annual Research Report
Efficient production of ultra-slow muonium
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17H02904
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
三部 勉 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80536938)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ミューオン / 異常磁気能率 / 電気双極子能率 / ミューオニウム / 熱化 / 対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画通り、前年度にカナダTRIUMFで取得した様々な加工パターンでレーザー穴加工をシリカエアロゲルからのミュオニウム生成データの解析を進め、ミュオニウム生成率、スピン偏極度の導出を行なった。また、同じサンプルをJ-PARCのパルスミュオンビームに照射して行なった実験結果と比較し、TRIUMFの結果と無矛盾であることを確かめた。これによりTRIUMFで得られた実験結果に基づきJ-PARCで計画中のミュオンg-2/EDM実験に用いるミューオニウム生成シミュレーションを構築した。また、本研究のアプローチと比較するため、スイス・PSIで開発されているミュオン冷却方法についてシミュレーションを用いた比較を行った。PSIで用いられている低温希ガスでミュオンを減速させる方法では、ミュオンビームを効率的に加速空洞に入射できないことがわかった。一方、本研究で得られたミュオニウムをレーザーイオン化する方法では、崩壊によるロスを除けばほぼ100%の効率で加速器に入れられることがわかった。これまでの課題であったシリカエアロゲルのレーザー加工時に生じる歪みの問題を、両面からレーザーを打ち込むことにより応力の偏りを平均化し、歪みを抑制することに成功し、良い平面度をもつサンプルの製作に成功した。このサンプルをミュオンビームラインに設置するための標的ホルダーと設置架台を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りデータ解析を進めることができた。他のミュオン冷却手法との比較もデータに基づいたシミュレーションを構築し、定量的に実施できた。これまでの課題であったシリカエアロゲルのレーザー加工時に生じる歪みの問題を、両面からレーザーを打ち込むことにより応力の偏りを平均化し、歪みを抑制することに成功し、良い平面度をもつサンプルの製作に成功した。これをビームラインへ設置し試験するための標的ホルダーと架台の開発を行い、非常にデリケートな加工面への接触を最小限に抑えた支持構造が機械構造的に成立することを実証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したシリカエアロゲル標的を用いてJ-PARCミュオン実験施設で稼働中のミュオンビームラインに設置し、熱ミュオニウム生成とそれを1S-2P遷移や1S-2S遷移用いてレーザーイオン化する試験を行う準備が整った。今後のビームタイムで評価を行う。また、これまでに得たデータを総括した論文を執筆する。
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Research Products
(10 results)