2019 Fiscal Year Annual Research Report
散乱長の時空間制御で開拓する量子縮退気体の新奇な非平衡ダイナミクス
Project/Area Number |
17H02938
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
井上 慎 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (10401150)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 宏光 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 講師 (10587760)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 量子エレクトロニクス / ボース・アインシュタイン凝縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度の実験における最大の成果は,実際に2次元箱型ポテンシャルにルビジウムのボース凝縮体(BEC)を閉じ込めることに成功したことである.トラップに必要なビームの作成自体は前年度に終了していたが,実際に原子を断熱的にロードできるか,ビームの傾きによって原子が1方向に流れてしまわないか,また残存する光強度の不均一の効果は無視できるか,などといった疑問が残っていた.実際に実験を行ったところ,(1)原子の加熱を防ぐには,重力方向の位置合わせが最も重要であるが,光格子の位相を調節することによって精密な調整が可能であった (2)ビームの傾き,及び残存する光強度の不均一の影響は小さい(2割程度),ということが分かった. さらに2原子種のBECの同時非破壊イメージングのための光源開発を完了した.フェッシュバッハ共鳴で散乱長を変化させながら観測するため,光源の周波数を任意の周波数にロックできる環境が望ましい.周波数位相比較器を用いてそのような実験装置を構築した.これで2次元箱型ポテンシャルに閉じ込められた2原子種のBECを高解像度で非破壊に観測する実験系が完成したことになる.散乱長の制御による非平衡ダイナミクスの観測のプラットフォームとしては世界的にもユニークな実験が実行可能になった. 理論面では,ベルギーのアントワープ大学との共同研究を実施し,フェッシュバッハ共鳴を利用して原子間の相互作用を変調することで,フェルミ原子気体超流体のBEC-BCSクロスオーバーにおけるソリトンの不安定性に関する非平衡ダイナミクスが,BCS領域で特徴的な振る舞いを示すことを明らかにし,この現象をジョセフソン不安定性と名付けた.得られた成果は国際会議で発表するとともに,査読付き学術論文として公表された.
|
Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|