2017 Fiscal Year Annual Research Report
Collective migration of epithelial cells: a fundamental mechanics of morphogenesis
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17H02939
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 勝彦 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (90513622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 覚 国立研究開発法人理化学研究所, 多細胞システム形成研究センター, 基礎科学特別研究員 (80707836)
梅津 大輝 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (60620474)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 上皮細胞 / 細胞シート / 一方向移動 / 数理モデル / 配置換え / 収縮力 / 平面内極性 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)多細胞生物が形態形成の時に示す上皮細胞の集団運動(上皮細胞シートの状態を保ちながら一方向に動く運動)を数理モデルの視点から調べた。先行研究の2次元のvertex modelによって、2次元平面内では細胞間にかかる張力と細胞が持つ極性の両方を用いて上皮細胞を表している多角形が集団で一方向に運動することは示されていたが、現実の上皮細胞は3次元の構造物であるために、細胞のアピカル面(頂端面)に掛かる張力だけで細胞が3次元空間で単層のシートを保ちながら安定に一方向に運動できるかは先行研究では明らかにされていなかった。H29年度の研究で我々は上皮細胞シートを3次元 vertex modelを用いて表現し、アピカル面にかかる収縮力だけによって細胞シートを構成している細胞が3次元空間内で安定してシート構造を保ちつつ集団で一方向に移動しうることを示した。またアピカル面にかかる収縮力で移動する場合と基底面での仮足の伸長などによる移動を実験的に区別する方法を提案した。 (2)細胞間にかかる収縮力と細胞がローカルに持つ極性の組み合わせによって上皮細胞が上皮細胞シートを保ちながら集団で移動できることのレビューを出版した。 (3)上皮細胞の配置換えのメカニズムを実験的により詳しく調べるために、ハエの羽のdiscでのCompartment boundariesでのミオシンの集積と上皮細胞の位置の変化、細胞辺の変化を調べて、ミオシンが細胞の辺に集積するだけでは細胞の配置換えが起こるのに十分でないことを示した。またその数理モデルを考案した。 (4)アクティブ・ソフトマター研究会を開催し、細胞運動をはじめソフトマター、非平衡現象の研究者が意見を交換できる機会を提供し、多くの研究者が抱えている問題を突破するアイデアの創成の場を提供した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では高速計算機を必要としていたのであるが、その購入を順調に行うことができ、また、数理モデルの実装も順調に進んだために、当初の予定通り研究を進めることができた。 また実験の方も高速カメラや高感度顕微鏡を本財源によって購入することができたために、高い精度で現象をとらえることができ、それらの実験結果をもとに新しい数理モデルの発想が生まれやすい状況が作り上げられているため。 研究会を開催したことによって研究者のネットワークが作られつつあり、新しい考えが生まれやすい状況になっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)H29年度に実行した3次元vertex modelのシミュレーションの結果を論文にまとめて出版する。 (2)H29年度に考案した上皮細胞の配置換えのメカニズムに関する数理モデルを具体的に実装し、その計算結果をまとめて論文を投稿できる形までもっていく。 (3)上皮細胞の配置換えのメカニズムに関して実験的に新しい視点を見出すべく、adherens junction の構造の詳細の観察をナノ解像顕微鏡を用いて試みる。基礎的な実験は佐藤(代表者)、奥田(分担者)が行い、より詳細な精度の高い実験は梅津(分担者)とナノ解像顕微鏡の開発者(渡辺)が行う予定である。 (4)研究者同士のネットワークを広げてより新しい斬新なアイデアが生まれる環境を構築するために、アクティブマター・ソフトマター研究会を行う。 (5)上皮細胞シート内の運動を連続体力学の視点から解釈する。
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Research Products
(5 results)