2018 Fiscal Year Annual Research Report
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17H02940
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小松崎 民樹 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (30270549)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ラマン分光イメージング / 情報理論 / 甲状腺濾胞癌診断 / ラマン組織学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラマン分光イメージングは非侵襲、非標識でサンプルに含有される(小分子も含めた)分子全体を網羅的に反映し、細胞や組織中の細胞、細胞核の形態だけでは検出・分類できない分子情報を包含している。今年度は、微弱なラマン信号から空間情報をできるだけ保持したままS/N比を向上させるsuperpixel分割法を導入し、光子統計によるポアソンノイズを考慮にいれたラマン組織学の情報解析技術を開発した。速度歪み理論に立脚したクラスター分類、状態識別に重要な波数(ラマンシフト)をアンサンブル学習(ランダムフォレスト)に基づいて同定する手法、ならびに各クラスターの密度分布関数を細胞、組織状態を識別する記述子として考案した。具体的に、細胞、細胞核の形態情報では診断が困難な甲状腺濾胞がんのがん診断、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFL)の線維症へ応用した。前者においては、一細胞に跨がって平均化されたラマンスペクトルを用いたクラスター分類予測(精度78%)に比べて、その記述子を用いた予測(精度90%)のほうが顕著に優位であること、すなわち、識別にはsubcellularスケールの空間解像度が最低限必要であること、後者においては組織学的には非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)同定に必要な繊維化などの形態異常は見られないものの、NAFL群のなかでは、ラマン分光的には正常肝細胞、NASHにそれぞれほぼ等しいクラスに大別されること、すなわち、まだ病理が組織学的には観察されていない極めて初期段階でも組織状態を見分けられる可能性が高いことを新規に見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、論文2報を投稿中であるが、1報は高IFを狙っているため、掲載に到る時間が想定した以上に掛かっている。
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Strategy for Future Research Activity |
甲状腺濾胞癌株、甲状腺上皮細胞株に関して、固定、非固定、計測日の差違による微妙な計測条件の差違等に由来して分光画像データがラマンシフトが張る特徴空間において必ずしも分布が重ならないことが判明している。この問題に対して、新たな標準化を検討する。
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Research Products
(24 results)