2018 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical framework supporting direct optical observations of ordered structures of soft matter
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17H02947
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福田 順一 九州大学, 理学研究院, 教授 (90392654)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 液晶 / Maxwell方程式 / スカーミオン / コレステリックブルー相 / Kossel像 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度行った,鏡映対称性の欠如したキラルな液晶が平行平板間で示すサブミクロンスケールの周期的秩序構造に関する研究をさらに発展させ,それらが示すKossel像(特定の波長の光が強く反射される方向を可視化したもの.Kossel線と呼ばれる線の集合として現れる)についての検討を行なった.Kossel像はバルクの周期的構造からのブラッグ反射に起因するとされているが,今回考察している薄い系の場合は,系が有限のサイズを有することに起因する導波モードと液晶の周期的構造とのカップリングによってKossel線の形状や位置を説明できる(むしろブラッグ反射としては解釈できない)ことを,解析的な議論により明らかにした.さらに解析的議論だけでは捉えることのできないKossel線の強度やその位置依存性について理解するために,光の電磁波に関するMaxwell方程式を解いた結果を用いてKossel線の構築を試みた.連続体理論に基づくシミュレーションによって昨年度得られた種々の秩序構造(スカーミオンと呼ばれる渦状の構造のヘキサゴナルな格子,およびコレステリックブルー相と呼ばれる3次元秩序構造を特定方位の2枚の平面で薄くスライスした構造)について,計算で得られたKossel像が実験で得られたものとほぼ完璧な一致をすることを示した.この結果は,昨年度行なった光学顕微鏡像に関する計算結果とともに,シミュレーションで得られた秩序構造が実際の実験系で確かに形成されていることを示すものである.これらの成果は,1本の原著論文と,1本のProceedings論文として公表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度得られた成果をさらに発展させ,液晶の秩序構造の光学的性質に関して,本課題のスコープを超えた新たな知見を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は「研究実績の概要」で述べたものの他に,液晶の位相欠陥の光学顕微鏡像に関する検討も開始したが,まだ十分な解析ができていないので,その解析をまず最優先する.また連携研究者や海外の協力研究者から興味深い実験結果の提示もいただいているので,それらの理論解析の検討も並行して行う.
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Research Products
(11 results)