2018 Fiscal Year Annual Research Report
マグマ脱ガス圧力変動解析に基づく噴火推移過程の解明
Project/Area Number |
17H02955
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
篠原 宏志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 活断層・火山研究部門, 首席研究員 (80357194)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 雅明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 活断層・火山研究部門, 研究員 (40805149)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 火山 / 噴火 / 火山ガス / 火山ガス組成 |
Outline of Annual Research Achievements |
火山ガス組成からマグマ脱ガス圧力変動を明らかにし、噴火の発生や火山活動推移過程をモデル化するために、マグマ脱ガス圧力変動推定手法の開発および観測に基づく解析を実施した。 1)HCl/SO2比連続観測手法の開発と応用:火山ガス自動繰返採取装置(自動繰返AF採取装置)の試験運用を、設置環境の良好である桜島での実施を計画したが、桜島持木地区および桜島有村地区での火山ガス連続観測の結果、高濃度の火山ガスガスの検出は困難であることが判明した。そのため自動繰返AF採取装置の試験運用にはいたっていない。 2)火山ガス組成の脱ガス圧力依存性の再評価:マグマから脱ガスした火山ガスのH2/H2O比およびSO2/H2S比は、マグマの温度、圧力、酸素分圧により規制されるが、火山ガスの上昇による火山ガスの減圧に伴い、SO2+3H2=H2S+2H2O反応の圧力依存性に起因して、組成が変化する。薩摩硫黄島の高温火山ガスの組成の多様性を検討した結果、もし火山ガスが岩石学的に推定された酸素分圧下でマグマから放出された場合には、>100MPaの脱ガス圧力を必要とすることが推定された。このような高圧下での脱ガスは考えにくいため、Burgisser et al. (2008)の提唱する、減圧脱ガスに伴うマグマの酸素分圧の変化、が生じていた可能性が示された。 3)火山ガス観測:阿蘇火山・浅間山などでの自動繰り返し連続観測および現地観測を実施するとともに、活動が活発化した口永良部島における火山ガス組成の変動の把握のためにセスナ機を用いた観測を実施した。 4)脱ガス圧力変動に基づく火山活動のモデル化:2014-2015年阿蘇中岳噴火時の火山ガス組成変動と噴火活動の関係を解析し、噴火中に放出される火山ガス組成の急激な変動は、深部で生じた気泡の突出が原因であることを推定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
火山ガス試料自動繰返採取装置(自動繰返AF採取装置)の設置候補として、桜島持木地区、有村地区で火山ガス組成連続観測を実施したが、いずれも高濃度火山ガスが測定されなかったため、試験運用地として不適格であることが判明したため、試験運用が実現していない。火山ガス組成の脱ガス圧力依存性のモデル化は、マグマの脱ガスによる酸素分圧の変化が重要な影響を及ぼすことが推定されたが、マグマ組成の変化のモデル化の曖昧さ、困難さをあきらかにした。口永良部島の噴火活動活発化に伴う火山ガス組成変化の定量化を目的としてセスナ機を持ちた観測を急遽追加で実施したが、火山ガス放出活動の急速な低下のために、定量解析に十分なデータを得ることができなかった。2014-2015年阿蘇中岳噴火時の火山ガス組成変動の解析に基づき、噴火活動中の脱ガス圧力変動の解析、地球物理観測結果との比較により、火山ガス供給・噴火過程のモデル化を実施した。
|
Strategy for Future Research Activity |
火山ガス試料自動繰返採取装置(自動繰返AF採取装置)の試験運用場所を再検討し、試験運用を行う。諏訪之瀬島における自動観測を継続し、噴火の発生やその他地球物理観測結果との比較を実施し、噴火発生過程のモデル化の取りまとめを行う。
|
Research Products
(2 results)