2018 Fiscal Year Annual Research Report
有孔虫における殻形成機構の解明―石灰化のブラックボックスを開く―
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17H02978
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
氏家 由利香 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 准教授 (20573041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊福 高志 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋生物多様性研究分野, 主任研究員 (30371719)
石谷 佳之 筑波大学, 計算科学研究センター, 研究員 (60772043)
生田 哲朗 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋生物多様性研究分野, 技術研究員 (80584846)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | RNA-seq / ゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的である単細胞真核生物・有孔虫の石灰化の分子機構の解明は、世界でも初めての試みである。単細胞真核生物の多くは培養が困難であり、また遺伝子の発現量も少ないといった点で、本研究における培養系の確立や、殻形成/非形成時の比較による網羅的発現遺伝子の解析方法は画期的な内容である。2018年度は、2つの炭酸塩殻質(陶器質とガラス質)の系統の培養を確立し、以下4つの項目について研究を進めた。 1. ガラス質の有孔虫種における網羅的発現遺伝子の解析:初年度で得たシーケンス情報を元に、殻形成時のみに発現、もしくは高発現する遺伝子群の同定を行った。統計的に有意に発現する遺伝子群について代謝経路の検索を行い、殻形成時における細胞観察の結果を踏まえながら、細胞内外の物質輸送等を含めた石灰化代謝に関する経路を推定した。本内容について、世界各国の研究者が参集する国際有孔虫学会にて発表し、新規の成果に大きな反響を得た。 2. ゲノム解析:有孔虫は有効なゲノム情報がないため、1で予測された石灰化関連の遺伝子群について、それらのゲノム上での位置やエクソン予測ができない。そこで、同種の培養個体からゲノムDNAを抽出し、HiSeq(外部受託)でシーケンスし、ゲノム解析を始めた。しかしバクテリアのゲノムも含まれるため、個体試料の培養条件や処理方法を変え、複数のデータを取得し、有孔虫由来のコンティグのみを引き出すこととした。本解析ではデータ量が非常に大きいため、文部科学省科学研究費・新学術領域研究「先進ゲノム支援」に応募し、情報解析の支援を受け、共同研究をスタートした。 3. 1の結果から得られた遺伝子群のうち、発現量が顕著なものを可視化するため、in-situ ハイブリダイゼーション法の実験条件の検索を始めた。 4. 陶器質の有孔虫について培養を進め、1個体からのRNA抽出に関する条件検索を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. ゲノム解析では、データ量が多いこと、また他生物のコンタミなどもあり、情報処理の方法について模索が必要である。 2. 陶器質の有孔虫のRNA抽出を行ったが、質の高いライブラリの作成をすることができなかった。ガラス質の有孔虫とは異なる実験条件が必要と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. ゲノム情報に含まれるバクテリアゲノムの抽出、有孔虫由来のコンティグのアセンブリと遺伝子予測を行う。 2. 陶器質の有孔虫について、抽出方法やライブラリ作成方法の確立を行う。
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Research Products
(21 results)
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[Presentation] Foraminiferal ultrastructure: a perspective from fluorescent and fluorogenic probes2018
Author(s)
Fabrizio Frontalini, Maria Teresa Losada, Takashi Toyofuku, Jaroslaw Tyszka, Jan Golen, Lennart de Nooijer, Barbara Canonico, Erica Cesarini, Yukiko Nagai, Tetsuro Ikuta, Remi Tsubaki, Stefano Papa, Rodolfo Coccioni, Jelle Bijma, Joan M. Bernhard
Organizer
International Symposium on Foraminifera (FORAMS 2018)
Int'l Joint Research
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