2017 Fiscal Year Annual Research Report
高精度温度制御システムによる最下部マントルの実験岩石学
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17H02984
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
舘野 繁彦 東京工業大学, 地球生命研究所, 研究員 (30572903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 明 岡山大学, 惑星物質研究所, 准教授 (10262841)
中島 陽一 熊本大学, 大学院先導機構, 助教 (50700209)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 実験岩石学 / 高温高圧実験 / ダイアモンドアンビルセル |
Outline of Annual Research Achievements |
地球全マントル領域にわたる実験岩石的研究を可能にするため、ダイヤモンドアンビルセル(DAC)による精密に温度制御された高圧実験を行うことを目的としている。これを応用し、マントル鉱物の相転移およびマントル物質の融解実験について熱力学的に信頼性の高いデータを取得し、未だ整合性を得られていないまたは解明されていないマントル深部における物質分化を明らかにする。 そこでホウ素添加導電性ダイアモンド(BDD)を発熱体として用いた内部抵抗加熱式DAC(BDD内熱DAC)の技術開発を行っている。本年度は(1)加熱テストを重ね、BDDのボロン添加量の最適化し加熱効率を向上させた。さらに(2)実験の再現性の向上、試料充填の簡素化、加熱効率向上のため、試料室およびガスケット構成を最適化した。ガスケットはタングステン箔に絶縁層を挟み込む三層構造にし、内部ガスケットにサファイア単結晶を用いた。以上より5W未満の高い加熱効率で3600Kまでケイ酸塩を加熱することができた。また、大型放射光施設SPring-8におけるX線回折において、BDD発熱体によりマントル鉱物が合成されたことをを確認し、その回収試料のEPMAおよびSIMS分析により鉱物中に発熱体からのボロン拡散がないことを確認した。有限要素法による数値シミュレーションも組み合わせることで、さらに試料内の温度勾配を減少させたセル構成を考案した。現状の結果を技術論文としてまとめ出版し、本技術の有用性を示した(Ozawa et al., 2018, High Pressure Research)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
50GPa, 3600Kまでの高温高圧実験を可能にし,進捗を技術論文としてまとめることがでいた。一方で、再現性向上とさらなる高圧下における実験を行うためにはさらなる技術開発が必要である。また、導入予定である温度測定・試料観察システムは、現在その設計を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現状の技術では、試料室構成が極めて複雑であるため、熟練が必要となっている。再現性の高い実験を目指し、これまでの複雑な試料室構成から、より単純なものにデザインを変更することで実験準備と試料充填の簡素化を目指す。このため、BDD電極プリントを単結晶ダイアモンドアンビル上に施す手法を導入する。また、これにより高圧発生についても容易に行えることが期待される。これと同時に内熱DACに特化した温度測定・試料観察システムの構築にも引き続き取り組む。
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Research Products
(10 results)