2018 Fiscal Year Annual Research Report
星間雲におけるC-H系分子誕生と複雑有機分子への進化
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17H02993
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
中野 祐司 立教大学, 理学部, 准教授 (20586036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 進平 首都大学東京, 理学部, 助教 (20806963)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イオン蓄積リング / 星間分子 / 中性ビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
理化学研究所の極低温型イオン蓄積リングRIKEN Cryogenic Electrostatic ring (RICE)を用いて,星間雲におけるC-H系分子誕生と複雑有機分子への進化過程に関する実験的研究を行うことを目的とし,合流ビーム実験セットアップの開発を遂行した。29年度に立教大学へ移設した中性原子ビームラインにおいて,イオン源運転およびビーム輸送系のパラメータ調整によって炭素負イオンビームの強度を数倍向上することに成功した。また,負イオンビームの光電子脱離効率向上のために設計したマルチパス光学系(光増幅キャビティ)について,冷却機構等の詳細設計を完了し,プロトタイプ機を製作した。キャビティ用内部に仕様するミラーとして,合成石英に反射率99%以上の誘電体多層膜コートを施した平面ミラーを製作し,高温用アピエゾングリスを用いて水冷プレートに接着した。 また,大強度半導体レーザー(波長808 nm,出力 5 kW)を効率よく光増幅キャビティに入射するために複数枚のシリンドリカルレンズを組み合わせた光学系を設計し,レーザープロファイラを用いて実際のスポット形状を観測しながら幾何配置を決定した。 以上のように設置した光増幅キャビティを用いて,中性ビーム生成実験を行ったところ,従来のワンパス光学系を用いた場合に比べて,中性化効率がおよそ10倍向上した。これはシミュレーションと概ね一致する結果であり,光増幅により必要な中性ビーム強度が得られることが実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属変更にともなって実験拠点を変更したために実験装置セットアップがやや遅れている。しかし目的とした強度での中性原子ビーム生成は達成されており,当初計画していた研究目的については予定通り実施可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要でも記載したように光増幅キャビティの導入により,本研究で必要となる中性ビーム強度が得られることが実証された。しかしながら,キャビティ近辺の温度上昇にともなうシリンドリカルレンズの破損,真空度の悪化が問題点となっている。シリンドリカルレンズについては現在使用しているBK7ガラスに比べて熱膨張率の小さい人工石英製のものに変更することで解決を図る。また真空度に関しては,水冷効率の向上とともにターボ分子ポンプの排気量アップによって対策する方針である。
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Research Products
(11 results)