2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H02994
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
羽生 毅 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球内部物質循環研究分野, 主任研究員 (50359197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 健二 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, 技術研究員 (30420491)
山本 順司 北海道大学, 総合博物館, 准教授 (60378536)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 揮発性元素 / マントル / 物質循環 / メルト包有物 / 局所分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
火山岩及びそのマグマ源であるマントルの持つ揮発性成分組成を決定することを目的として、火山岩の斑晶鉱物が内包するメルト包有物の化学分析を行うための基礎実験と化学分析技術の改良を行った。 メルト包有物の多くは結晶化して組成的に不均質なため、これを均質にするためのメルト包有物加熱均質化装置を立ち上げた。この装置は加熱ステージと光学顕微鏡で構成されるが、前者については予定通り、また後者についても予算の前倒し使用により導入することができ、今年度に装置の全システムを構築することができた。予備試料を用いて装置を試験することにより、装置の最適化を図るとともに装置の改良点を洗い出した。 これと並行して、数十~数百ミクロンの大きさのメルト包有物に対して各種化学分析を行うため局所分析技術の改良を行った。まず、メルト包有物中の気泡に対してラマン分光分析による二酸化炭素密度測定とX線CTスキャンによる体積測定を組み合わせることを実現し、気泡が含む二酸化炭素量の定量化を可能とした。さらに、メルト包有物のガラス質部分が含む揮発性元素、主成分元素、微量元素、及び鉛同位体比測定のために、二次イオン質量分析計、電子線プローブ、レーザーアブレーション誘導プラズマ質量分析計を用いた測定を試み、一連の分析が問題なく行えることを確認した。 以上のようにメルト包有物均質化の基礎実験と局所化学分析技術の改良により、次年度以降実試料に対して分析を進めていくための準備が整った。マントル由来の火山岩に含まれるメルト包有物の分析を行うために、南太平洋や大西洋に分布する海洋島玄武岩試料を選別し、オリビン鉱物斑晶を分離することで試料準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に計画していた項目はおおむね実施することができた。三年計画の初年度でメルト包有物の均質化と各種局所化学分析の試験を完了できたことで、二年目以降に実施する海洋島玄武岩に含まれるメルト包有物試料の分析をルーチン的に進めていくことができる。特に、ラマン分光分析とX線CTスキャンを組み合わせてメルト包有物中の二酸化炭素の定量分析を実現したことは大きな成果であり、この分析手法について早い段階で国際学術誌上で報告することを考えている。また、研究対象とする試料の選別と準備も順調に進み、実試料の分析を二年度目の早い段階から円滑に行うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
メルト包有物の均質化装置については、加熱ステージ内のヒーターの形状を変更して試料の均質化をより容易にするために、軽微な改良を施す予定である。これは二年度目の早い段階で完成させる予定である。その後、すでに準備が進んでいる南太平洋や大西洋に分布する海洋島玄武岩のメルト包有物の均質化と各種局所化学分析を順次進めていく。局所分析は海洋研究開発機構横須賀本部、同高知コア研究所、北海道大学の各所で行う必要があり時間と手間がかかるので、各種分析は短期間に集中して行うなど、分担研究者と連携して作業を行い効率化を図る。また、研究を発展させるために大洋中央海嶺玄武岩と島弧火山玄武岩のメルト包有物の準備も並行して始める。さらに、研究対象とする試料を追加するために船舶を用いた海洋島の調査も行う予定であり、これらの試料は三年度目に分析を進める予定である。初年度に確立した分析手法について論文投稿を行い、また海洋島玄武岩のメルト包有物の分析結果が出次第それらをまとめ、国際学会や学術誌での発表を行っていく。
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Research Products
(5 results)