2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel time-resolved diffusion method and application to detection of protein conformation and intermolecular interaction
Project/Area Number |
17H03008
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺嶋 正秀 京都大学, 理学研究科, 教授 (00188674)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | タンパク質反応 / 分子間相互作用 / 光反応 / 拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質の反応機構を分子論的に明らかにするために必須である構造変化や分子間相互用変化を時間分解で検出できる、時間分解回転拡散計測法を、実験手法として確立することを試みた。このために、これまで発展させてきた時間分解並進拡散法と比較する目的で、いくつかのタンパク質反応に伴う拡散係数測定を行った。その結果、EL222と呼ばれるタンパク質とDNAとの結合過程を時間分解で検出することに成功し、このタンパク質がDNAの配列を認識する機構を明らかにした。これは特異的なDNA配列認識の分子メカニズムを明らかにした興味深い結果である。また古くから多くの興味がもたれていた植物の持つ赤色センサータンパク質フィトクロムの反応スキームを明らかにしたほか、光強度を見分けることのできる光センタータンパク質を見出した。 また、回転拡散計測法の確立のために、蛍光色素導入で構造が変化しないタンパク質とその部位を円二色性測定などを用いて決定した。こうして得られた情報を基にして、蛍光色素をタンパク質に導入し、変性剤で変性させつつ蛍光の偏光測定を用いて偏光解消速度をピコ秒からナノ秒の時間スケールで検討した。その結果、円二色性分光では2状態的な変性過程を取ると考えられていたタンパク質においても、部位特異的に異なった変性過程を示すものがあることを見出した。これはこれまでの知見を覆すもので非常に興味深い知見であるため、さらに詳しく調べている。また、部位によっては予想していた回転拡散運動の減少ではなく、偏光解消速度の増加が観測された。これは、その部位における揺らぎ運動が促進されたためと解釈した。その促進速度は、構造を取りにくい部位の動きが速いことが分かった。部位依存的なこの揺らぎ促進効果は、タンパク質の安定性の議論に大きな役目を果たすと期待されるため、構造と揺らぎとの相関を検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、タンパク質への蛍光色素の導入に成功している。また偏光解消速度の測定にも成功し、幾つかの光センサータンパク質において、タンパク質間相互作用を時間分解で観測することにも成功している。その他にも、予想外なタンパク質の機能(非線形な光強度センサ)を発見したり、DNA認識メカニズムを明らかにできた。
|
Strategy for Future Research Activity |
順調に進展しているので、本年度に引き続いて、拡散係数の時間分解測定と、蛍光偏光解消実験を進める。特に、タンパク質を変性させたときのサイト依存的な動きに注目して研究を進める。揺らぎと構造変化過程の相関を明らかにする。
|
Research Products
(23 results)