2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the highly difficult oxidation reaction with chlorine dioxide
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17H03010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大久保 敬 大阪大学, 先導的学際研究機構, 教授 (00379140)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 酸化反応 / 二酸化塩素 / ラジカル / 光反応 / 水素引き抜き / 高分子 / 材料 / 極性官能基 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラスチック材料の中で化学酸化処理が困難なポリプロピレンを光酸化させ、極性官能基を導入することに成功した。これまで、プラスチック材料の表面改質に用いられてきたプラズマ放電処理法やコロナ放電処理法では、酸素官能基導入反応が可逆過程であったため酸化状態の寿命が数日程度と短いのが問題であった。本研究において、ポリプロピレンやポリエチレンなど極性官能基の全くないプラスチック表面に二酸化塩素ガスを接触させ、光照射することによって、化学的に安定なヒドロキシ基やカルボキシ基などの極性官能基を不可逆的に導入できることを発見した。そのため、本手法による処理効果の寿命が、従来法に比べ飛躍的に向上した。また、光を当てたところのみをスポット酸化処理できることが大きな特徴である。導入された極性官能基は、有機合成化学的に様々な機能性分子に置換することが出来るため、プラスチック表面に親水性や染色性など様々な機能を付与することができる。二酸化塩素ガスへの光照射によって得られる化学種がプラスチックの炭素-水素結合を切断することによって反応が始まるため、ほぼすべてのプラスチック材料に対し適用できる方法が確立されたこととなった。本研究成果により、プラスチック材料そのものの耐久性、柔軟性などを維持したまま、表面のみを機能化できることから、新しい機能性材料開発に繋がる技術となることが期待できる。一方、メタンからメタノールを酸化する技術開発については二酸化塩素とメタンガスを振動を与えながら行うことで顕著な加速効果を見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究により、成形されたポリプロピレンシートの表面にアルコールやカルボン酸などの極性官能基修飾が可能となる技術を確立させることができた。この光酸化した部分は、さらなる化学修飾ができるので、新しい機能を付与することなどのさらなる展開が期待できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度で達成した技術をさらに発展させ、様々な用途展開を行いたいと考えている。
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