2017 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of control methods of regioselectivity by non-covalent interactions in C-H transformations
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17H03016
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
國信 洋一郎 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (40372685)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | C-H結合変換 / 非共有結合性相互作用 / 水素結合 / Lewis酸-塩基相互作用 / ボリル化 / シリル化 / メタ位 / オルト位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、C-H結合変換反応開発において重要な研究課題である位置選択性の制御に着目し、水素結合やハロゲン結合、Lewis酸-塩基相互作用、超分子相互作用のような非共有結合性相互作用を利用する位置選択的なC-H結合変換反応を開発する。 2つの基質間のLewis酸-塩基相互作用を利用することにより、鉄触媒による2-フェニルピリジン類のオルト位選択的なC-Hホウ素化反応の開発に成功した(Org. Lett. 2017, 19, 3450)。得られたオルト位ホウ素化生成物は蛍光性を有するため、それらの蛍光特性についても実験、理論計算の両面から調査した。また、電子求引性置換基をもつビピリジル系配位子を有するイリジウム触媒を用いることにより、γ位に硫黄原子をもつ芳香族化合物のオルト位選択的なC-Hホウ素化反応が進行することを見出した(Org. Lett. 2017, 19, 5944)。 最近、オルト位選択的なC-H変換反応ではキレート配向基が多用されている。それらの配向基の構造を参考に独自に開発した配位子をもつパラジウム触媒を用いることにより、アルデヒドのC-H結合活性化を経由するケトン類の合成反応の開発に成功した(ACS Catal. 2018, 8, 3123)。本反応では、これまで合成が難しいとされてきた、カルボニル基にヘテロ芳香環が結合したケトン類も容易に合成できる。 その他にも、鉄触媒による超原子価ヨウ素反応剤を用いるスチレン類のアシロキシアルキル化反応の開発も行なった(Org. Lett. 2017, 19, 2398)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた芳香族化合物のパラ位選択的なC-H結合変換反応や、官能基を足掛かりとしない位置選択的なC-H結合変換反応の開発については引き続き検討中であるが、かさ高い配位子をもつ触媒とかさ高いLewis酸の組み合わせによるピリジン類の4位選択的な変換反応の開発に成功した(未発表)。 一方で、当初計画をしていなかった「研究実績の概要」で示したいくつかの反応を開発することができたため、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、引き続き芳香族化合物のパラ位選択的なC-H結合変換反応や、官能基を足掛かりとしない位置選択的なC-H結合変換反応の開発について検討するとともに、位置選択的なC(sp3)-H結合変換反応の開発についても検討を開始する。
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