2018 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素化合物による新芳香環構築反応の機構解明と機能材料開発
Project/Area Number |
17H03020
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
庄子 良晃 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (40525573)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | π共役分子 / π共役高分子 / ホウ素 / 9-ボラフルオレン / アルキン / 芳香環構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、研究代表者らが最近見出した、9-ボラフルオレン誘導体を用いたアルキンの芳香環化反応を利用し、クロスカップリングのみでは合成が困難な、多彩かつ特徴ある3次元骨格や湾曲・拡張構造を有するπ電子系分子・高分子群を創製し、電気伝導・発光・熱伝導・物質輸送/透過ならびに動的特性に焦点を当て、新たな機能を探求することを目的としている。また、未だ明確な答えを出せていないこの新反応のメカニズムを解明し、ホウ素化合物が関与する有機反応に新たな展開を図ることを目的としている。 平成30年度は、新規芳香環化反応の機構解明に集中的に取り組んだ。その結果、鍵ステップである9-ボラフルオレンによるアルキン誘導体の1,2-カルボホウ素化反応(Chem. Eur. J. 2018, 24, 13223)およびそれにより生成するボレピン誘導体の酸化的脱ホウ素化・炭素-炭素結合形成反応(J. Org. Chem. 2019, 84, 1941)の詳細な機構を明らかにすることができた。さらに、得られた知見をヘテロ元素含有π共役骨格構築反応へと展開した(Chem. Asian J. 2019, in press, DOI: 10.1002/asia.201900047)。上記成果に加えて、新規芳香環構築反応を利用した3次元プロペラ分子(Chem. Commun. 2018, 54, 12314)や多孔性(細孔径 2 nm, 比表面積 366 m2 g-1)を示すジグザグ型π共役ポリマー(Mater. Chem. Front. 2018, 2, 807)の合成に成功し、学術論文として出版した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、9-ボラフルオレンを用いたアルキンの芳香環化反応の鍵反応のメカニズム解明に成功し、本研究課題の主目的の一つを果たすことができた。また、本研究課題のもう一つの目的である、立体構造の作り込んだ3次元的な分子骨格を有するπ共役分子・高分子の創製と機能開発に関する研究も順調に進展している。以上の理由から、本研究は「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに引き続き、新規芳香環化反応を利用した特徴あるπ共役分子・高分子群を創製し、新たなπ電子系機能化学を展開する。具体的には、立体構造やコンホメーション挙動までも含めた、π共役分子の設計・合成指針開拓に引き続き取り組む。 さらに、新規芳香環化反応の鍵反応の一つである1,2-カルボホウ素化が連続的に進行し、大環状構造をもつ含ホウ素π電子系化合物が生成する新たな反応系を見出しているため、この反応についても詳細に検討し、ホウ素が織りなす物質変換化学の拡張を目指す。
|
Research Products
(10 results)