2018 Fiscal Year Annual Research Report
ピリジルキャビタンドとポルフィリンを鍵とする分子集合体が拓く機能創発
Project/Area Number |
17H03021
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小林 健二 静岡大学, 理学部, 教授 (40225503)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 超分子化学 / 分子自己集合 / キャビタンド / ポルフィリン / 分子集合カプセル / 分子集合ギア |
Outline of Annual Research Achievements |
ピリジルキャビタンドとポルフィリンを鍵とする分子集合体として、以下の3つのテーマの研究を行った。 テーマ1:(1)テトラキス(p-ピリジルエチニル)キャビタンドとテトラキス(レゾルシノール)ZnポルフィリンとDABCOを2:2:1で混合すると、水素結合およびDABCOとの配位結合を介した2:2:1ポルフィリン二重積層型カプセルを生成することを見出した。(2)テトラキス(m-ヒドロキシフェニル)ポルフィリンとテトラ(m-ピリジル)ポルフィリンから水素結合に基づく1:1異種ポルフィリン二重積層集合体を形成すること、また、テトラキス(レゾルシノール)ポルフィリンとテトラ(m-ピリジル)ポルフィリンから1:2異種ポルフィリン三重積層集合体を形成することを見出した。 テーマ2:(1)テトラ拡張アリールRhポルフィリンとテトラ(m-ピリジル)キャビタンドとのRh-NPy配位結合に基づく4:1分子集合ギアは、(n-Bu)4NBF4または1-プロピニル-3,5-ジメトシキベンゼンと相互作用するが、これらゲスト添加の有無ではギア回転速度の変化は起こらなかった。(2)テトラアリールRhポルフィリンとヘキサキス(p-ピリジルフェニル)ベンゼンを6:1で混合するとRh-NPy配位結合に基づく6:1錯体を形成し、アリール基がビフェニル基やターフェニル基の場合、6枚のポルフィリンの歯(アリール基)が噛み合って分子集合ギアとして機能することを見出した。 テーマ3:テトラキス(p-ピリジルフェニル)キャビタンドとPd[(S,S)-BDPP](OTf)2からPd-NPy配位結合に基づく2:4不斉カプセルの構築に成功したが、プロキラルなビフェニルゲストに対してジアステレオ包接選択性を発現しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テーマ1:(1)テトラキス(p-ピリジルエチニル)キャビタンドとテトラキス(レゾルシノール)ZnポルフィリンとDABCOを2:2:1で混合すると、PyN-HO基間の水素結合に基づく2:1カプセルと、PyN-HO基間とOH-OH基間の水素結合ならびにZn-DABCO-Zn間の配位結合に基づく2:2:1ポルフィリン二重積層型カプセルを生成することを見出した。(2)テトラキス(m-ヒドロキシフェニル)ポルフィリンとテトラ(m-ピリジル)ポルフィリンからPyN-HO基間の水素結合に基づく1:1異種ポルフィリン二重積層集合体を形成すること、また、テトラキス(レゾルシノール)ポルフィリンとテトラ(m-ピリジル)ポルフィリンから水素結合に基づく1:2異種ポルフィリン三重積層集合体を形成することを見出した。 テーマ2:(1)テトラ拡張アリールRhポルフィリンとテトラ(m-ピリジル)キャビタンドとのRh-NPy配位結合に基づく4:1分子集合ギアは、(n-Bu)4NBF4または1-プロピニル-3,5-ジメトシキベンゼンと相互作用するが、低温NMR測定の結果、これらゲスト添加の有無でギア回転速度の変化は起こらなかった。(2)テトラアリールRhポルフィリンとヘキサキス(p-ピリジルフェニル)ベンゼンを6:1で混合するとRh-NPy配位結合に基づく6:1錯体を形成し、アリール基がビフェニル基やターフェニル基の場合、6枚のポルフィリンの歯(アリール基)が噛み合って分子集合ギアとして機能することを見出した。 テーマ3:テトラキス(p-ピリジルフェニル)キャビタンドとPd[(S,S)-BDPP](OTf)2から2:4配位結合不斉カプセルの構築に成功し、前年度見出したPd[(R)-BINAP]を有する不斉カプセルよりプロキラルなビフェニルに対する包接能は向上したが、ジアステレオ包接選択性を発現しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
テーマ1:(1)上記キャビタンドと上記ZnポルフィリンとDABCOから成る水素結合と配位結合に基づく2:2:1ポルフィリン二重積層型カプセルの生成を、DOSYスペクトル測定等によって検証する。また、2:2:1ポルフィリン二重積層型カプセルの生成選択性の向上を検討する。(2)上記1:1異種ポルフィリン二重積層集合体ならびに1:2異種ポルフィリン三重積層集合体の光学特性を明らかにし、また、ポルフィリン積層間へのゲスト包接について検討する。また、2種類のポルフィリンの一方または両者をZnポルフィリンにした1:1異種ポルフィリン二重積層集合体ならびに1:2異種ポルフィリン三重積層集合体を構築し、それらの光学特性ならびにゲスト包接能を比較検討する。 テーマ2:(1)ビフェニル基やターフェニル基を有するテトラ拡張アリールRhポルフィリンとテトラ(m-ピリジル)キャビタンドから成る4:1分子集合ギアについて、引き続き、包接ゲスト分子を探索し、ゲスト包接に基づくギア回転速度の制御を探求する。(2)上記テトラ拡張アリールRhポルフィリンとヘキサキス(p-ピリジルフェニル)ベンゼンから成る6:1分子集合ギアに関して、単結晶を作成しX線構造解析を行い、溶液中でのNMR測定結果と併せて、詳細なギア特性を解明する。(3)新たにテトラ拡張アリールRhポルフィリンとテトラ(p-ピリジル)ポルフィリンから成る4:1分子集合ギアを構築し、ギア特性を評価する。
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