2018 Fiscal Year Annual Research Report
Functional Self-Assembled Membranes with Structural Rigidity and Flexibility
Project/Area Number |
17H03036
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原野 幸治 東京大学, 総括プロジェクト機構, 特任准教授 (70451515)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フラーレン / 分子集合体 / 分子膜 / 透過性 / 電子顕微鏡 / 両親媒性分子 / ベシクル / ミセル |
Outline of Annual Research Achievements |
コニカル両親媒性フラーレンの分子設計と自己集積化制御により,従来に無かった機能を有する分子膜の機能を開発したと共に,別途デザインしたカチオン性フラーレンが剛直なミセル構造を形成する性質を利用して核酸医薬の輸送システムの開発に成功した.その内容を以下に示す. 1.真空下でも水が漏れない分子膜からなるナノ小胞体を開発 独自開発したコニカル両親媒性フラーレン分子の自己集合により形成する直径28nmの二重膜ベシクルについて,中性子散乱法および高分解能電子顕微鏡観察によりベシクル構造および二重膜の物質透過能を精査した結果,脂質膜に比べ最大10億倍水を通しにくく,真空中でも水を保持する特異な性質を有することを明らかにした.特に電子顕微鏡観察において,100億分の1気圧という高真空下においても内水相に由来する水分子からの酸素原子のシグナルが検出された.このようなナノスケールの器に閉じ込められた水相の物理化学性質に興味が持たれると共に,電子顕微鏡により水相内の分子・ナノ材料の動的挙動を追跡できる可能性を秘めている. 2.階層的集積化を鍵とした低毒性薬剤輸送システムの機構解明 概要:カチオン性フラーレンを薬剤輸送キャリアとして用いた肺選択的siRNA輸送システムについて,フラーレンとsiRNAの血中における複合体形成を顕微鏡観察を中心とした分析手法により追跡した.その結果,血中においてsiRNAとフラーレンのサブミクロンサイズ集合体が血清タンパク質とさらに階層的に集積化しミクロンサイズ凝集体となり,肺の毛細血管へ選択的に蓄積され,肺選択的輸送を実現していることが明らかとなった.低毒性の薬剤輸送システムの開発に繋がる成果である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初目的であった剛直性と柔軟性を兼ね備えた分子膜の創製という目標は脂質より最大10億倍水を通しにくいフラーレン膜小胞体という,当初予想を上回る特異な性質の発見と解明という成果に結実した.さらに医療応用を視野に入れたフラーレン分子集合体の核酸医薬複合体の集合機構と構造同定を展開し成果を上げることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
ベシクルやミセルのような閉じた分子集合体のみならず,ミクロ粒子や平面膜などの取り出し可能な固体材料の創製を目指し,実応用を探っていく.
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Research Products
(9 results)