2017 Fiscal Year Annual Research Report
気体のダイナミクスを自在に制御するナノ空間の構築と機能発現
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17H03043
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
犬飼 宗弘 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 講師 (60537124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀毛 悟史 京都大学, 高等研究院, 准教授 (70552652)
野田 泰斗 京都大学, 理学研究科, 助教 (00631384)
西山 裕介 国立研究開発法人理化学研究所, その他, 研究員 (20373342)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 固体NMR / 二酸化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
水素やメタンなどの吸着貯蔵は、ある程度の高圧下(例えば3.5 MPa)で検討されていることから、1 MPaを越える高圧ガスを導入したPCPのMAS NMR解析が、新たな吸着機構を探求する上で、今後重要となってくる。しかしながら、従来のMAS NMR試料管に高圧ガスを封入することは困難であり、かつ高価なMAS NMR装置にダメージを与える危険性もあるため、前例はない。 本研究において、ネジ機構とO-リングを3つ使用することにより、高圧(~3.5 MPa)に耐え、磁場強度7 T、10 kHzで回転が可能なNMR回転試料管を開発した。開発した試料管に高圧(0.5 MPa~2.0 MPa)のCO2を満たし、MAS NMR実験を行った。得られたスペクトルより、125.5 ppm付近でCO_2 に起因するピークを確認した。圧力の増加に比例し、NMRピーク強度も増加しており、高圧CO2 が封じ込められていることを確認した。PCPと高圧ガスを封入し、圧力変化に対するPCPの構造と運動性を評価した。圧力が増加するにつれて、PCPの結晶性が向上する知見を得た。 メタンガスの貯蔵に関する新しい知見を得た。亜鉛イオン、4,4’-ビピリジン、5-メチルイソフタル酸から組み上がるPCPにメタンガスを吸着させ、高分解能NMRでメタンのダイナミクスを観測した。空隙の入口がメタンのサイズより小さく、配位子の回転により細孔入口が出現させ、メタンを吸着させた。そして195 Kで配位子の回転を止めることにより、メタンを空隙内に閉じ込めることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の到達目標は、1.ガス分子高分解能NMR (MAS NMR)による気体のダイナミクス解析、2.気体超高速MAS NMR法の開発、3.高圧気体MAS NMRの開発である。1に関して、研究目標の1つであるメタンガスのダイナミクス解析、及びに低温・真空下における貯蔵に成功している。3に関しても装置開発は既に成功しており、材料の評価に進展している。一方、2に関しては、まだ開発段階である。 以上より、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、メタンガスの低温・真空下における貯蔵に成功しているが、その貯蔵量は目標に挙げた5wt%に及ばない。今後は、PCPの分子設計を最適化することで、貯蔵量の増加を試みる。 また高圧(~3 MPa)ガス下における、PCPの局所構造の変化、結晶相転移、ゲスト分子の構造変化などをin-situ NMRでモニタリングする。例えば、[Zn(5-methylisophthalat)(bipyridine)] (CID-Me)は、2次元シート状の配位ネットワークがpiスタックによって積層しており、外部圧力に対して柔軟な結晶構造を有している。これら柔軟なCPに対して、開発したNMR装置を用いて、配位子の1Hや13C MAS NMR解析を行い、圧力印可時の局所構造のゆがみ、ゲスト分子の構造・配位高分子との距離相関、配位子間の距離などを明らかにする。それらの知見を分子運動を利用した貯蔵に活かして行く。
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Research Products
(4 results)