2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Three-Dimensional Precise Polymerization by Crystalline Phase
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17H03062
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐田 和己 北海道大学, 理学研究院, 教授 (80225911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小門 憲太 北海道大学, 理学研究院, 助教 (40600226)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 結晶架橋 / 配位高分子 / 架橋反応 / クリック反応 / ナノ多孔性材料 / 高分子ゲル / 異方膨潤 / Metal Organic Frameworks |
Outline of Annual Research Achievements |
新規重合性配位子として、1,3,5-三置換ベンゼンを基本骨格とするアジドを持つ配位子やPillared-Layer MOFを構成する非重合性のPillar配位子について合成を検討した。並行して、これまでに開発が完了している重合性配位子を用いて、金属イオンとのソルボサーマル反応により、ナノ多孔性配位高分子を合成し、結晶架橋を行なった。その後、配位結合の分解による有機高分子および有機高分子ゲルへの変換を行い、生成する高分子ゲルに対しては、膨潤度の測定を、二官能性モノマーの場合、線状高分子を再沈殿により回収し、SECなどにより重合度と分子量分布を評価した。その結果、Pillared-Layer MOFを用いた場合、生成するゲルが異方的に膨潤する新しい現象が見つかった。これまでのMOFの架橋では結晶構造の対称性が高く、結晶面がいずれも等価なものが多く、架橋反応の異方性が低いものであったが、Pillared-Layer MOFを用いることにより、結晶軸が異方性を持つようになり、架橋反応が異方性を持つようになり、ゲルの膨潤が異方的になったと考えられる。高分子ゲルの膨潤の新しい制御法につながると期待できる。また、二官能性モノマーの場合、線状高分子の形成について検討したところ、生成する高分子がオリゴマーで成長が止まることが明らかになり、溶液中の重合とは違う挙動を示すことを明らかにし、Stochastic重合と命名した。このプロセスにおいて、結晶中に固定されたモノマーは移動することがないため、未反応の末端が結晶格子内で必ず残り、その残りやすさは、隣接するモノマーとの反応確率によって支配されることを明らかにした。自己組織化させた媒質中での重合の一般原理であり、重合科学だけではなく、材料科学における重要な発見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規重合性配位子の開発や新しい金属イオンを用いた新規重合性MOFの開発は当初の計画と比較してあまり進んでいないものの、既存のシステムを利用することにより、新しい現象の発見に繋がっている。特に二官能性モノマーを用いた逐次重合の反応解析より、結晶架橋の本質が明らかになった点は極めて重合であり、新しい重合制御法としての展開が期待できる。また、Pillared-Layer MOFを用いた異方性膨潤を持つゲルの構築については、本研究の提案である、本手法による架橋構造の精密制御につながる第一歩とかんがえられ、重要な知見が得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も金属イオンや反応性有機配位子(ホストモノマー)を多数合成し、網羅的に多数のナノ多孔質結晶を作製し、それらにゲストモノマーを包接させ、架橋・重合を行い、その重合反応性とホストモノマーの三次元構造とゲストモノマーの関係を明らかにし、結晶場を用いた逐次重合の学理を明らかにする。さらに架橋構造を高次に制御した様々な高分子ネットワーク構造を構築し、多官能性モノマー間の反応による三次元重合の精密逐次重合の確立を目指す。生成物である多面体形状の高分子ゲル(多面体高分子ゲル)は他の方法では調製できない形状を持つ有機素材であり、その多様化と機能化を検討する。
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Research Products
(16 results)