2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Structurally Ordered Polymers via Oxidative Cross-coupling Polymerization
Project/Area Number |
17H03063
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
神原 貴樹 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90204809)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 高分子合成 / 有機金属化学 / クロスカップリング反応 / 高分子半導体 / 構造制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2種類の異なる芳香族モノマーの炭素-水素結合を直接反応点として炭素-炭素結合形成を進行させる、酸化クロスカップリング反応に基づく高分子半導体の新しい合成技術を開発することを目的としている。 本年度は、ポリフルオロアレーン類を対象モノマーとして注目した酸化的クリスカップリング重合の開発に取り組んだ。まず、チオフェン誘導体をカップリングパートナーとするモデル反応による合成条件の検討を行った。その結果、炭酸カリウムのような適切な塩基を添加することでクロスカップリング反応が促進され、それに伴って反応温度を低下させることができ、ホモカップリング反応が抑制されることを見出した。これにより、クロスカップリング重合時の副反応によって生成する構造欠陥の形成が抑えられ、交互規則性の高いドナー-アクセプター型π共役高分子を効率よく得ることができた。さらに、この重合反応は大気下でも進行することが分かった。そのため、酸素を最終酸化剤として利用することが可能となり、酸化剤として添加した銀塩が効率よくリサイクルされるとともに、主な副生成物は無害な水となり、試薬の使用量と廃棄物の排出量が大幅に削減できることを確認した。 得られたポリマーはフィルム状態でも良好な発光特性を示したことから、有機EL素子に実装して素子特性評価を行った。その結果、このポリマーは電荷注入により有機EL素子の発光層として機能することを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリフルオロアレーン類を対象モノマーとすることで、効率の良い酸化クロスカップリング重合法を開発できた点は大きな進展といえる。対象モノマーに適する反応条件の選択することによって、モノマーに反応性官能基を導入することなく、高い構造秩序性を有するπ共役高分子を合成できることが明らかになった。これにより、本研究の目的の一つは概ね達成できたと判断される。 さらに本研究では、酸素を最終酸化剤とする合成技術も見出した。これにより酸化剤の使用量を大幅に低減するとともに、この反応で生成する主な副生成物は無害な水となったことから、省資源・低環境負荷な合成技術を提供できたと判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究成果に基づき、種々の芳香族モノマーを対象とした重合実験と分子軌道計算の両面から探索試験研究を進め、酸化クロスカップリング重合に適用できる芳香族モノマーの拡張を図る。特に、高分子半導体として注目度の高い芳香族モノマーの重合を検討し、有機電子光デバイス用高分子半導体を合成するための新しい合成技術の開発に取り組む。また、直接的アルケニル化反応を利用した重合法の開発にも取り組み、新たな高分子合成技術の開発を進める。
|
Research Products
(12 results)