2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H03084
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
栗田 僚二 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (50415676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 直 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30356985)
吉岡 恭子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (50358321)
冨田 峻介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (50726817)
栗之丸 隆章 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (50769693)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノムDNAを基板上へ効率的に捕捉するために、片側にナイトロジェンマスタードを持ち、もう片側に基板結合部位(環状ジスルフィド、ビオチン)を有するリンカー分子を合成した。ナイトロジェンマスタードは、第二次世界大戦時に開発された抗がん剤の主要骨格であり、グアニン塩基の7位の窒素に結合し、二本鎖DNAを架橋する性質をもつ。まず、オリゴDNAとリンカー分子を中性溶液中で混合し、変性ポリアクリルアミド電気泳動で評価した結果、95%以上の二本鎖DNAがリンカー分子に架橋されたことを確認した。次に、表面プラズモン共鳴測定装置(Biacore)を用いて架橋オリゴDNAの固定化を行った結果、架橋オリゴDNAを速やか基板上へ固定化することに成功した。さらに、メチル化率の異なるオリゴDNAを固定化し、抗メチルシトシン抗体を送液したところ、固定化DNAのメチル化率に比例して抗体の結合量が増加することを明らかにした。同様の実験をゲノムDNAの一種であるλDNAを用いて行った結果、リンカー分子による架橋・送液によるDNAの固定化・抗体によるメチルシトシンの検出が可能であることを実証した。また、30年度実施予定のマイクロアレイ基板に対するDNA固定化の予備検討として、マイクロプレート基板表面でのDNAの固定化を検討した。アビジン-ビオチン結合を介してあらかじめリンカーを固相化したプレート表面にDNAを加えた結果、DNAが十分に固定化されることを確認した。さらに、プレート表面に固定化したDNAのメチルシトシンを抗体によって検出可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
リンカー分子の合成と評価を行い、目的としていたDNAの基板への捕捉およびメチルシトシンの計測を実現でき、一連の成果を論文で発表するに至った。また、プレート上でのDNAの固定化にも成功し、次年度以降の計画をスムーズに進められると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、ゲノムDNAのメチル化率の評価を重点的に行う。異なる組織から抽出したゲノムDNA中のメチル化率を評価し、組織ごとに差が生じることを確認する。またプレート上により効果的にDNAを固定化すべく、構造が異なるリンカー分子の開発を進める。
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Research Products
(5 results)