2018 Fiscal Year Annual Research Report
Structure and function of transition metal ions-containing sensor proteins
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17H03093
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Research Institution | Center for Novel Science Initatives, National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
青野 重利 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 教授 (60183729)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光センサータンパク質 / ビタミンB12 / アデノシルコバラミン |
Outline of Annual Research Achievements |
Thermus thermophilusに含まれるCarHは、カロテノイド色素合成酵素の発現を光依存的に制御している転写調節因子であり、ビタミンB12(アデノシルコバラミン)を光受容体として利用している新規な光センサータンパク質である。暗所で調製したアデノシルコバラミン結合型CarH(AdoCbl-CarH)は、四量体構造を有しているが、これに可視光を照射すると単量体へと解離した。 CarHによる光センシング、および光によるCarHの機能制御の分子機構を明らかにするため、CarHの結晶構造解析を行った。精製したアポ型CarHとAdoCblを暗所において混合することにより、AdoCbl結合型CarH(AdoCbl-CarH)を調製した。結晶化スクリーニングの結果得られた回折データを与える単結晶を用い、結晶構造決定を行った。 AdoCbl-CarHは四量体を形成しており、光感知前の構造が得られたことが分かった。CarHプロトマーは、三つのドメイン(N末端側から順にDNA結合ドメイン、helix-bundleドメイン、Rossman-foldドメイン)から構成されていた。アデノシルコバラミンは、helix-bundleドメインとRossman-foldドメインに挟まれる形で結合しており、Rossman-foldドメイン中のHis177が第6配位子としてコバルトに配位していた。アデノシル基は、helix-bundleドメイン中の二本のヘリックスに挟まれて存在しており、Trp131とHis142がアデノシル基周辺に位置することにより、その配向を制御していると推定された。CarHが光を感知すると、アデノシル基が光解離することにより、コバラミン周辺のコンフォメーションが変化し、その結果として四量体から単量体への高次構造変化が誘起されるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に開始した新規な光センサータンパク質CarHの結晶化実験においては、当初の結晶化スクリーニングの条件では、凝集状態を容易に形成してしまい、構造解析に適した結晶ができないことが判明した。平成30年度には、より広範な結晶化条件の検討を行い、結晶構造解析に適した単結晶を得ることに成功し、活性型CarH(四量体構造を有している)の構造決定にも成功した。得られた結晶構造を基に、光センシングおよび光センシング後のシグナル伝達に関与すると推定されるアミノ酸残基の特定しており、これらの残基にアミノ酸変異を導入した変異体の調製も開始している。得られた変異体の光応答性、および光センサーとしての機能を解析することにより、当初掲げた研究目的を達成することができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、光感知前には四量体を形成しているCarHは、光感知後に二量体へと構造変化することを明らかにした。今後の研究では、光センシングにより誘起されるこの高次構造変化のダイナミクスを明らかにするため、高速原子間力顕微鏡(高速AFM)による高次構造変化の直接観測を試みる。 さらに、前年度の研究において成功したCarHの結晶構造解析の結果を基に、CarH四量体のサブユニット界面において高次構造変化の制御に関与していると推定されるアミノ酸残基に系統的なアミノ酸置換を導入し、得られた変異体の光応答性を、光照射前後のサンプルを用いたゲルろ過分析および高速AFMにより解析し、CarHの光応答性高次構造変化の反応分子機構を明らかにする。 また、新規なセンサータンパク質として、Fe-Ni二核金属錯体をセンサー活性部位とする水素センサータンパク質Regulatory Hydrogenase (RH)を研究対象とした研究にも取り組み、RHによる水素センシング、ならびにRH生合成の分子機構解明を目的とした研究を行う。
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Research Products
(10 results)