2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H03096
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 康之 京都大学, 工学研究科, 教授 (30144330)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アレン / 銅触媒 / ホウ素化反応 / アシル化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請では,共役ジエン類に対してヘテロ元素の導入を伴う二官能基化反応の開発,を目的としている. 有機合成は,創薬科学,材料科学ならびに高分子科学などの物質科学を支える基盤科学技術であり,生理活性や新しい機能を有する新規化合物の創製が求められている.この化学プロセスにおいて効率を向上させる手法の 1 つとして均一系遷移金属触媒の利用が挙げられる.触媒を活用することにより,不飽和炭化水素に対して異なる2つの官能基を導入することができれば,複雑な分子群合成の行程簡略化などに繋がる. 本年度は,1,2-ジエンに対してホウ素官能基とケイ素官能基の導入を伴うボラアシル化反応の開発に成功した.本反応は,ビスピナコラトジボロンをホウ素源,酸無水物をアシル源として用い,周辺部がかさ高い2座のリン配位子を用いることにより,β,γ-不飽和ケトンが良好な収率と高い位置選択性で得られることが分かった.様々な1,2-ジエンに対して適用可能で有り,官能基許容性に優れた反応であった.ここで,酸無水物に変わってシュウ酸ジエステルを用いたところ,ボラアルコキシオキサリル化反応が進行することも併せて見出した.いくつかのシュウ酸ジエステルを用いた際にも本反応は良好に進行し,対応するβ,γ-不飽和ケトエステルが良好な収率と高い位置選択性で得られることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記概要に示したように,銅触媒を活用することにより,1,2-ジエンにホウ素官能基とアシル基またはアルコキシオキサリル基を位置選択的に導入する反応の開発に成功したため,本研究はおおむね順調に進行していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果を踏まえ,1,2-ジエンにホウ素官能基とカルボキシ基を導入するボラカルボキシル化反応の開発を行う.また,銅触媒を用いてケイ素官能基とアシル基またはアルコキシオキサリル基の導入を伴う二官能基化反応の開発を進める.
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