2018 Fiscal Year Annual Research Report
Develepment of Element-pi Hybrid Materials
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17H03105
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大下 浄治 広島大学, 工学研究科, 教授 (90201376)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 元素ブロック / ハイブリッド材料 / π共役系 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、有機電子デバイスの開発が世界的に激しい競争の中で進んでいる。特に、これらデバイスの中で機能する材料の創出が重要であり、新しいアイデアに基づく材料分子設計が求められている。本研究は、無機元素とπ電子系との電子的な相互作用を利用した高性能の有機電子デバイス材料を創出することを目的として、新規な元素-πハイブリッド系材料の合成を検討した。 特に、ゲルマニウム、アンチモン、ビスマスなどの元素とπ電子系のハイブリッドの共役系骨格およびポリマーを合成するとともに、それらの応用も検討した。以下に、主な研究実績をまとめる。 1.スピロ縮環型のジチエノゲルモールの置換基効果を検討し、電子供与性置換基の導入によって、ペロブスカイト太陽電池のキャリア輸送材料への応用の可能性を示した。また、ゲルマニウム-ホウ素のハイブリッド共役型スピロ環状オリゴマーの合成に成功し、そのセンシング特性を明らかにした。 2.新規な架橋ビアリール型π電子系として、15族の重原子であるアンチモン、ビスマスで架橋したビピリジルの合成に始めて成功した。さらに合成した架橋ビピリジルを配位子とする銅錯体を合成し、その結晶構造を明らかにするとともに、有機EL素子の発光層として利用が可能であることを明らかにした。また、これまで合成されてきた架橋ビアリールは、対称型のものがほとんどであったが、非対称型のピリジノチエノゲルモールの合成に成功した。非対称性のドナー-アクセプター構造を反映して、光電荷移動が観測されたほか、ブレンステッド酸・ルイス酸と相互作用して、光学特性が変化するなど、センシング材料としての応用の可能性が明らかになった。 3.ジチエノゲルモールのゲルマニウム上の置換基効果について検討し、光エネルギー移動に関する知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ、当初の予定通りに進行している。 当初計画で予定していたもののうちでは、合成に至っていないものもあるが、一方で、ゲルマニウム-ホウ素のハイブリッド共役型スピロ環状オリゴマーの合成に成功するなど、当初の計画を発展させたテーマも取り扱っている。また、有機電子デバイス材料としてもペロブスカイト太陽電池や有機EL素子への応用を検討するなど、概ね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果をもとに、さらに、新しい材料合成に向けて検討を進めるとともに、材料としての可能性を明らかにするため、素子化にも取り組み、高性能な有機電子デバイス材料として評価する。 1.スピロ型の元素架橋π電子系の新しい展開として、これらのポリマー化、オリゴマー化を検討する。例えば、銅との錯体ポリマーの合成を計画している。また、ペロブスカイト太陽電池の材料として、分子構造のチューニングを行い、高性能化を目指す。 2.ハイブリッド共役型スピロ環状オリゴマーの応用展開として、置換基効果、サイズ効果を検討するほか、主鎖骨格の誘導体化を行い、最適構造を探索する。 3.あまり検討されていない元素として、スズのπ電子系への導入による材料展開を行う。 4.これまで合成した新規化合物で、有望なものに関しては、有機電子デバイス材料としての評価を継続して行う。
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Research Products
(21 results)