2018 Fiscal Year Annual Research Report
新規な階層的な多孔構造を有する複合材料の創製と応用
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17H03114
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宇山 浩 大阪大学, 工学研究科, 教授 (70203594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麻生 隆彬 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (50548378)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バクテリアセルロース / モノリス / エチレン-ビニルアルコール共重合体 / 相分離 / 複合材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は新規な階層的な多孔構造を有する複合材料の創製・構造制御および機能化を目的とする。積層構造を有するバクテリアセルロース(BC)に着目し、BC存在下にポリマー溶液の粘弾性相分離を行うことで、マクロにはBCの積層構造(2D構造)、ミクロにはBC由来のセルロースナノファイバー(CNF)と相分離により得られる高分子多孔質体(モノリス)骨格からなる3D/3D構造を有する複合材料の合成を目指す。今年度はエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)に着目してBCとの複合モノリスを作製し、得られた複合材料の作製条件による内部構造変化や異方性に着目した機械的特性について検討した。EVOH/BC複合モノリスの作製においては、EVOHモノリスを形成するイソプロパノール(IPA)/水の溶媒組成および相分離温度によりBCゲル内部での相分離挙動が大きく異なることが見出された。IPA 65%の場合、相分離温度による変化はなくEVOHがBCファイバーを覆うように相分離する様子が観察された。また、IPA 35%の場合には相分離温度により異なる挙動が見られ、20℃の相分離条件ではIPA 65%と同様にEVOHがBCファイバーを覆う様子が確認された。一方、4℃、-196℃の条件では、EVOHがBCファイバーと独立した構造を形成する様子が観察された。このような相分離挙動の違いが見られた原因としては、BCとEVOHの間の水素結合やポリマー溶液の粘度の違いが大きな影響を与えると考えられる。複合モノリスの機械的強度を圧縮試験により実施した。BCハイドロゲル単体で測定したところ、BCの階層構造に対して垂直方向と平行方向で強度に違いがみられ、複合モノリスについても同様の異方性が観測されたことから、BC階層構造由来の異方性が複合後も保持されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間軸としての進捗は多少の遅れが生じたが、BCゲルへのEVOHモノリスの複合化において、溶媒組成を中心として相分離条件により異なるマクロ構造を有する複合モノリスが得られた。また、BCゲルの構造の特徴を活かした複合モノリスの機械的特性に興味深い異方性が見られ、本研究の特色が見いだせた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度、二年度に計画通りに研究を実施できたので、最終年度は計画通りに初年度に作製したBC/アクリロニトリル複合モノリスの炭素化とその電気化学性質の評価を中心として、複合モノリスの用途開発を実施する。
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