2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H03115
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原田 明 大阪大学, 理学研究科, 特任教授(常勤) (80127282)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シクロデキストリン / バルク重合 / 膜 / 多孔性材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、分離膜は化合物の精製だけでなく、逆浸透膜をはじめとした水の浄化やLiイオン電池のセパレーターなど環境やエネルギー産業にも応用され、我々の生活に欠かせない材料となってきている。我々は分離膜の作成において新たな手法を提案し、その手法を用いてテーラーメード分離膜の合成を行うことを全体の構想とする。本申請においては、その中で基幹となる分離膜の精密合成とその評価を行う。具体的にはナノサイズの空孔を持つシクロデキストリンを、種々のモノマーと共重合したり、その重合条件を検討することによって分離膜を作製し、その分離膜のLiイオン電池のセパレーターや逆浸透膜としての応用を試みる。 本年度はシクロデキストリンを含む膜の作製を行った。膜の汎用性を考えると新・疎水両方の膜を作成出来た方が望ましい。また、作製方法においても溶液重合よりもバルク重合の方が将来的な応用を見据えた際に望ましいことから、親水性モノマー・疎水性モノマーにバルク重合可能なシクロデキストリンの合成を行った。親水性モノマーに関してはシクロデキストリンに特に特別な化学修飾なくバルク重合可能であった。一方で疎水性モノマーに関しては溶解しなかったため、水酸基に対して化学修飾を行った。メチル化やアセチル化を行うと、アクリレート系や汎用モノマーであるスチレン系へ溶解することが分かり、そのモノマー溶液を重合するとフィルムを得ることが出来た。種々の測定結果から膜内にはシクロデキストリンが含有していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々のポリマーへシクロデキストリンを含有させることが可能になっており、更に膜化まで成功し、これは当初の計画通りに進行している。その中でモノマーに対してシクロデキストリンが重量比でほぼ1:1の割合で溶解したことは嬉しい誤算であった。今年度は各種修飾シクロデキストリンの大量合成法や各種モノマーへの溶解性、膜の作製方法の検討など基礎的なデータが多く集まったことからおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した膜の表面積、ガスや化合物吸着能等、多孔性材料としての評価を中心に行う。また、シクロデキストリンに重合基を修飾することによってポリマー鎖へ直接修飾する方法、多孔性材料であるシクロデキストリンの多孔性金属錯体・シクロデキストリンチューブのポリマー中への導入等の検討も始め、最終年度に向けて系統的に調査を行う。
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Research Products
(21 results)