2017 Fiscal Year Annual Research Report
格子欠陥が拓く原子スケール磁性強誘電体とその力学的機能制御
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17H03145
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶋田 隆広 京都大学, 工学研究科, 准教授 (20534259)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 格子欠陥 / 強誘電体 / 磁性 / マルチフィジックス特性 / 第一原理解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁性強誘電体(マルチフェロイクス)は、従来相反する磁性と強誘電性を同時に示すことが特徴であり、両特性間相互作用を利用して次世代ナノ科学技術の基幹を成す最重要材料として注目を集めている。この強誘電性・磁性は材料寸法に非常に敏感であることが知られており、特に、ナノスケールの構造体では臨界寸法を境に消失することが報告されている。一方、本研究では、材料中に存在する転位や原子空孔といった格子欠陥部に同特性が特異的に発現することに着目し、格子欠陥を工学利用することで臨界寸法以下の微細な磁性強誘電体を創出できる可能性を見出した。本研究では、格子欠陥の微視的構造に依存して発現する特異な磁性強誘電性と、その発現機構を解明することを目的としている。さらに、負荷ひずみに対する同特性の連動性(マルチフィジックス)の究明を目指す。
初年度である平成29年度は、まず、(1)格子欠陥部に発現する局在化したマルチフェロイクス(磁性強誘電体)特性の電子状態を解析するため、DFT+U法やHybrid汎関数法を導入し、同特性の量子論的評価のための大規模解析基盤を構築した。(2)この大規模量子解析法を実施するための並列計算システムを構築した。(3)この大規模量子解析方法・装置を用いて、様々な格子欠陥における原子スケールの磁性強誘電性発現の有無とその特性を原子/電子レベルから評価した。酸素空孔部では空孔サイト近傍に余剰電子が局在化することで磁性が発現することを見出した。また、結晶粒界部では空孔がトラップされることで磁性が発現しており、顕著な格子欠陥相互作用が存在することを示した。(4)発現した磁性・強誘電性の特徴を解析した。例えば、転位芯に発現する強誘電分極はらせん状や渦状などの幾何学的特徴を有することを明らかにした。これは、欠陥特有の原子構造とそれに付随して生じるひずみと対応することを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は、(1)格子欠陥部に発現する局在化した電子状態解析法の導入と計算プログラムの整備改良、(2)並列計算システムの構築、(3)これらの量子解析方法・装置を用いて、様々な格子欠陥における原子スケールの磁性強誘電性発現の有無とその特性の原子/電子レベルから評価、(4)欠陥部の三次元的な磁気モーメント分布・強誘電分極分布の詳細解析・評価、である。研究実績欄に記載のとおり、これらの予定項目(1)~(4)はすべて実施し、それぞれの目的を達成している。したがって、本研究は当初予定どおり、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進展しており、今後の研究の推進方策も当初予定した以下の項目について実施する予定である。 (1)格子欠陥の原子構造の変形特性と、負荷に連動する磁性・強誘電性の応答(マルチフィジックス)特性の評価、(2)マルチフィジックス特性の電子状態からの評価、(3)メカニズム解明のための解析プログラムの改良、(4)改良プログラムのための計算装置開発、(5)力学モデル構築のためのPhase-fieldプログラムの整備・改造。
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Research Products
(17 results)