2018 Fiscal Year Annual Research Report
Design and fabrication of multiferroic materials with huge magnetoelectic effect caused by digital composite structure
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17H03151
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
上辻 靖智 大阪工業大学, 工学部, 教授 (00340604)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 機能材料 / マルチスケール解析 / 電気磁気効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代新規デバイス開発の核となるマルチフェロイック材料の電気磁気効果を飛躍的に向上することを目的とし,これまでに強誘電体材料で実績のあるマルチスケール構造最適設計を応用して,数値解析主導の材料開発に着手している.巨大なマクロ電気磁気効果の発現の鍵はミクロ不均質構造とカップリング(圧電および圧磁)特性の相乗効果にあり,従来の均質単結晶体の積層構造を超える潜在能力が未開拓である. 平成30年度は昨年度からの均質化理論に基づいたマルチスケール最適設計法の構築を継続し,これを完了した.これまでのマルチスケール有限要素解析に関する研究実績とミクロ不均質構造の最適設計に関する研究実績を踏まえ,スケール連成に均質化法,不均質構造の多変数最適化に最急降下法を採用した.変位-電位-磁位連成問題のマルチスケール最適設計の定式化を行い,それに基づいた有限要素解析プログラムを新たに開発した.また,構築した設計法を用いて,マルチフェロイック複合材料のマクロ電気磁気効果を最大化するミクロ構造の最適化を実施した.強誘電体および強磁性体の材料組合せ,体積含有率の影響,結晶構造の異方性,自発分極のスイッチング効果を考慮し,均質単結晶体の積層構造を超えるミクロ構造を探求した. 一方,圧粉・焼結法によるマルチフェロイック複合材料を試行的に創製した.昨年に導入したナノ粒子マルチアナライザー(メイワフォーシスqNano)を用いて,強誘電体および強磁性体の粉体について粒度分布,アスペクト比を調査し,それらの基本的性状を分析した.また,金型への二相粉体の注入方法も検討し,結晶性と圧電特性に及ぼす焼結条件の影響を調査した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標とする均質化理論に基づいたマルチスケール最適設計法に対して,これまでに強誘電体を対象として開発済みであったマルチスケール有限要素解析プログラムをベースとして開発した.特に,強誘電体と強磁性体を判別する材料定数を連続値として導入することで,2種類の材料の配置も最適できることを検証できた.基本的な材料の組合せに対して開発プログラムを適用し,ミクロ構造の最適化を行ったところ,均質化したマクロ電気磁気定数が均質単結晶体の積層構造を超える狙い通りの結果を得たことから,おおむね順調に進展している. 一方,導入したナノ粒子マルチアナライザー(メイワフォーシスqNano)を用いて,強誘電体および強磁性体の粉体の性状を分析した結果,予想以上に操作性が悪く,測定に時間を要するが,粉体の通過時間に基づいてアスペクト比の定量化が可能であることを裏付けるデータを得た.
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度はこれまでに構築した,均質化理論に基づいたマルチスケール最適設計法を用いて,マルチフェロイック複合材料のマクロ電気磁気効果を最大化するミクロ構造の最適化を実施する.強誘電体および強磁性体の材料組合せ,体積含有率の影響,結晶構造の異方性,自発分極のスイッチング効果を考慮し,均質単結晶体の積層構造を超えるミクロ構造を探求する.また,材料の組合せ(強誘電体:BaTiO3,PZT,(Ba,Ca)(Zi,Ti)O3/強磁性体:CoFeO3,Terfenol-D)およびそれらの含有率を主な検討項目とし,結晶構造(正方晶,菱面体晶,六方晶),自発分極方位([001] ,[111]),圧電および圧磁定数の異方性を重視して,ミクロひずみ分布とマクロ電気磁気効果との関係を分析する. 一方,圧粉成形・焼結法による創製実験は前年度から継続し,電気分極および磁気分極の処理方向の影響について検討する.また,これまでのスパッタ薄膜の創製実績を踏まえて,RFスパッタリング装置によるマルチフェロイック複合薄膜の創製も開始する.シリコン基板上に金属下部電極バッファ層を形成した後,マルチフェロイック複合層を成膜する.複合構造は,ターゲットとスパッタ順序により制御する.目標とする結晶を成長させるためのバッファ層結晶面の選定が重要となることから,科研費若手研究B(No.22760087)で構築した実践的創製支援シミュレーションも導入し,目標の結晶を成長させるため格子不整合ひずみを見出す.さらに,結晶整合性を幾何学的に評価し,見出した格子不整合ひずみとなる最適なバッファ層を探索する.
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Research Products
(7 results)