2017 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール微細加工および組成分析可能な大気圧プラズマ照射プローブ顕微鏡の開発
Project/Area Number |
17H03156
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岩田 太 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (30262794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永津 雅章 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (20155948)
下村 勝 静岡大学, 工学部, 教授 (20292279)
荻野 明久 静岡大学, 工学部, 准教授 (90377721)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大気圧プラズマ / 走査型プローブ顕微鏡 / ナノピペット / 微細加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は先端に微小開口を有するナノピペットをプローブとする走査型プローブ顕微鏡を用いて,ナノピペット先端から大気圧プラズマを局所照射することで,表面微細加工と加工物質の組成分析が可能な新奇なナノ加工・観察および組成分析システムを開発することである.走査型プローブ顕微鏡により高精度に位置決めされたナノピペットプローブ先端から大気圧プラズマとして低周波低温プラズマおよび高周波誘導結合プラズマを照射可能にすることで,様々な材料の微細加工法を実現する.さらに加工中のプラズマ相互作用によるプラズマ発光分光などが可能な装置を開発し,加工材料の組成分析測定や組成分布イメージングを実現する.. 上記目的の実現のために,平成29年度は大気圧プラズマ照射技術として低周波低温プラズマに加えて,加工効率向上を目的とした誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma,:ICP)を用いた高周波プラズマを照射可能なシステムを構築した.ナノピペット開口からのプラズマ照射制御の高精度安定化を目的とした各種パラメータの最適化とそれに基づいた装置構成を検討した.具体的には,HeやArといった原料ガスをナノピペットに導入し,数kHzの高電圧パルスを印加することでピペット内に低周波の低温プラズマを励起させ,ピペット先端開口からプラズマジェットを照射する技術を実現した.さらに,高周波プラズマを照射可能なシステムを開発した.高周波プラズマは,ナノピペット周囲に配置したコイルに高周波電圧を印加した誘導結合により原料ガスを励起させる必要がる.そこで高周波電圧を誘導結合用コイルに印加するための自動整合装置を構築し,インピーダンスマッチングさせることで誘導結合させ,プラズマ生成を実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の計画は大気圧プラズマ照射技術として低周波低温プラズマに加えて,加工効率向上を目的とした誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma,:ICP)を用いた高周波プラズマを照射可能なシステムを構築することであった.また,それを用いてナノピペット開口からのプラズマ照射制御の高精度安定化を目的とした各種パラメータの最適化に取り組むことであった. 上記計画に対して,HeやArの原料ガスをナノピペットに導入し,数kHzの高電圧パルスを印加することでピペット内に低周波の低温プラズマを励起させ,ピペット先端開口からプラズマジェットを照射する技術を実現した.また,このシステムに高周波プラズマを照射可能な機能を付加した.高周波プラズマは,ナノピペット周囲に配置したコイルに高周波電圧をインピーダンスマッチングしながら印加できる装置を構築し,ナノピペット先端から高周波プラズマを照射可能にした.これにより低周波プラズマと高周波プラズマの両方を照射可能なシステムの構築を実現した.これらの知見をもとに走査型プローブ顕微鏡機能を付加するための装置設計の検討に着手した.よって.概ね計画どおりに順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の進展方策 平成30年度は昨年度構築した大気圧プラズマ照射技術として加工効率向上を目的とした誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma :ICP)を用いた高周波プラズマを照射可能なシステムについて,各種パラメータの最適化を行うことで,プラズマ照射制御の精度向上と微細化の実現に取り組む. 本研究では低周波の低温プラズマに加えて、高周波プラズマを照射可能なシステムを開発している.ナノピペット周囲に配置したコイルに数十から数百MHzの高周波電圧装置を印加した誘導結合により励起させ,整合装置を用いてインピーダンスマッチングさせることで誘導結合させる.これを用いて低周波プラズマ照射では加工効率が低くて加工困難であった材料を高周波プラズマ照射により,加工することで,加工精度や加工効率を評価していく. その後,この加工システムの加工精度を向上させるために,上記にて最適化された低周波および高周波プラズマ照射可能なナノピペットプラズマ照射源を走査型プローブ顕微鏡(SPM)に実装し、ピペット先端の高精度な位置決めと、照射後の加工表面を観察するシステムを構築する.研究代表者の岩田は走査型プローブ顕微鏡の装置開発に多くの実績があり、このノウハウを活用する.ピペット先端と試料表面との位置決めには先端を微小に横振動させるシェアフォース制御を行う.このSPM技術によりピペット先端開口を試料表面近傍に位置決めすることで、プラズマジェットの拡散を抑えた局所的な表面照射を実現し、開口サイズ(数十nm程度)での微細加工を達成する.研究分担者の永津および荻野はプラズマ装置開発に豊富な知識とノウハウがあり ,走査型プローブ顕微鏡に実装するためのプラズマ装置設計および装置開発を行う.また研究分担者の下村はプラズマを用いた分析装置の検討に着手する.
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Research Products
(3 results)