2018 Fiscal Year Annual Research Report
Ultraprecision forming of hybrid Fresnel lenses using infrared-transparent polymer and single-crystal silicon
Project/Area Number |
17H03159
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
閻 紀旺 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (40323042)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | プレス成形 / 超精密加工 / 赤外線 / フレネルレンズ / 光学部品 / シリコン / 樹脂 / 複合レンズ |
Outline of Annual Research Achievements |
車載ナイトビジョン装置や夜間防犯カメラ,サーモグラフィなどの赤外線光学デバイスの開発において高精度の薄型フレネルレンズが強く求められている.本研究では,精密プレス成形によって厚さ数十~数百ミクロンの高密度ポリエチレン(HDPE)薄肉層と単結晶Siウエハの界面に強固な架橋結合を形成させると同時に,HDPE表面に微細フレネル形状を転写させることによって,厚さ<1mmの薄型複合レンズの高速製造を可能にすることを目的としている.H30年度では,Si/HDPEレンズ成形メカニズムの解明および成形条件の最適化を行った.(1)Si/HDPE界面架橋結合の実現と制御因子の特定:複合レンズを切断し,その断面の走査型電子顕微鏡観察により,界面架橋結合の構造と形態を明らかにした.また,異なる条件でプレス実験を行い,架橋結合変化の制御因子(成形温度,圧力,表面粗さなど)を特定した.これにより,接着剤が不要で強固な界面接合を実現した.(2)HDPEの微視的な流動特性の解明:HDPE層が薄いため,フレネルレンズ成形時は表面回折構造によって微視的な流動現象が非常に複雑になる.そこで,有限要素法によりHDPEの塑性流動のシミュレーションを行い,断面観察結果と比較することで不完全転写の原因を特定した.(3)成形条件の最適化:試作金型を用いて成形実験を行い,成形温度・圧力,加熱・冷却速度,保持時間およびプリフォーム形状を変化させて,成形したフレネルレンズの微細溝の転写性および表面粗さの変化について調査した.また,顕微レーザラマン分光法を用いて表面応力や変質有無の計測や確認を行った.これらの成果は今後のレンズ性能向上に大きく寄与するものであると考えられる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度では,Si/HDPEレンズ成形メカニズムの解明および成形条件の最適化を行った結果,界面架橋結合の実現と制御因子の特定,HDPEの微視的な流動特性の解明そして成形条件の最適化が実現できた.研究は全体的に順調に推移しており,得られた成果は今後のレンズ性能向上に大きく寄与するものであると考えられる.
|
Strategy for Future Research Activity |
H31年度では,これまでの成果を踏まえて,レンズの形状計測,光学性能評価ならびに赤外線装置への搭載を予定している.これにより本技術の実用化に向けての技術課題を特定し,プロセスの安定化と金型の長寿命化を目指していく予定である.
|
Research Products
(2 results)