2017 Fiscal Year Annual Research Report
Orbital drilling of large diameter deep holes in aircraft parts
Project/Area Number |
17H03160
|
Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
松村 隆 東京電機大学, 工学部, 教授 (20199855)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 切削 / チタン合金 / 炭素繊維強化プラスチック / 残留応力 / 切削力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,炭素繊維強化プラスチックとチタン合金の大口径深穴加工を対象とし,オービタルドリル切削の実用化を図ることを目的としている. 平成29年度上半期では,オービタルドリルの切削力シミュレーションを開発し,切削試験によって,予測された切削力が実測のそれと一致することを確認した.切削シミュレーションでは,側刃と底刃が同時に切削する過程について,切りくず生成モデルとこれに基づいた切削力の解析が可能となった.下半期では,穿孔後のチタン合金の穴内面における残留応力を,購入したX線残留応力測定装置によって測定した. オービタルドリル切削では,エンドミルの切削様式と類似しており,仕上げ面は切れ刃が材料に食いつき,後続の切れ刃が材料に食いつくまでの領域で創成される.残留応力は切れ刃が材料に食いつく時点における最小切取り厚さと関係し,回転し送られている工具の切込みが最小切取り厚さより小さい領域では塑性変形によって材料を押しならした状態となるため,仕上げ面は圧縮の残留応力となる.その後,切込みが最小切取り厚さより大きくなるため,材料は除去され,引張りの残留応力に移行する傾向となる. そこで,工具の送り速度を変えて切削力を測定し,残留応力との関係を調べた.まず,切削力の半径方向分力の変化から,最小切取り厚さを推定した.次に,このような仕上げ面を創成する過程において,仕上げ面に対する切削力の方向と大きさが残留応力と相関があることを見出した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
切削シミュレーションを開発し,その妥当性と予測精度を確認した.また,チタン合金の残留応力については,最小切取り厚さや,仕上げ面生成過程における切削力と関連付けることができ,そのモデル化が可能となった. 次年度の切削力シミュレーションに基づいて,加工精度とともに残留応力の推定への目途がついた.
|
Strategy for Future Research Activity |
研究は予定どおりに進捗しているため,平成30年度は開発・整備した切削シミュレーションを併用し,オービダルドリルの切削力を解析する.また,穴内周面の表層部に高い圧縮の残留応力場を生成する工具形状を検討する.さらに,切削力解析に基づいて加工誤差を推定する.以下に具体的な内容を示す. (1) 残留応力制御のための切れ刃形状設計 穴内周面に対して大きな圧縮の応力場を生成させるために,工具の先端部に対してチャンファ形状を検討する.チャンファ部を大きくして,そのすくい角を大きな負の角度にすると,仕上げ面側に材料を押込みながら切削することになり,圧縮の残留応力場を増加が期待できる. (2) 加工精度に関する検討 前項のような切れ刃形状では,切削力が過大となって工具の変位が大きくなり,穴の形状精度が低下することが危惧される.すなわち,圧縮の残留応力と加工精度とは相反する関係にあるため,チャンファ部の負のすくい角とその大きさには,適応可能な値が存在する.そこで,切削力に基づいて加工誤差を評価するために,機上で工具の剛性を測定する.切削力をシミュレーションによって予測し,切削条件や工具経路に応じて工具の変位に起因する加工誤差を予測する.
|