2018 Fiscal Year Annual Research Report
路面摩擦係数の安定した測定が可能なインテリジェントタイヤおよび走行模擬装置の開発
Project/Area Number |
17H03163
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
立矢 宏 金沢大学, フロンティア工学系, 教授 (10216989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 理宏 金沢大学, フロンティア工学系, 准教授 (50455185)
鈴木 陽介 金沢大学, フロンティア工学系, 助教 (20582331)
小塚 裕明 金沢大学, フロンティア工学系, 助教 (80707589)
伊勢 大成 国際高等専門学校, 国際理工学科, 講師 (20734594)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インテリジェントタイヤ / 路面摩擦係数 / 走行模擬装置 / 自動車 / 走行制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,実車走行時にタイヤに生じるひずみなどの変形から路面摩擦係数を測定する方法を確立するとともに,同測定に用いる実験式の決定や走行時におけるタイヤの変形などを様々な条件で測定可能な走行模擬装置を開発することを目的としている. これまでに,タイヤの側面に生じるひずみからタイヤと接地面との間に作用する鉛直荷重,摩擦力を求める方法の基礎を確立するとともに,実車にてタイヤ側面ひずみを無線で記録する測定系を構築して複数の状況の路面で測定を行い,定性的に妥当な摩擦係数が測定できることを確認している. 今年度は,まず,実車において測定される路面摩擦係数の定量的な妥当性を確認するため,走行模擬装置用として準備したフォースプレートを利用し,実車に作用する鉛直荷重とタイヤ側面に発生するひずみとの関係を求め,走行模擬装置と同様な変形が発生することを確認した.また,タイヤと路面間の摩擦係数を測定可能な牽引式の測定装置を製作した.同装置は測定対象のタイヤを中央部に配置した手動式の牽引車であり,タイヤに所定の鉛直荷重を負荷しながら移動させる.タイヤの回転軸には,トルク,さらに,進行方向および鉛直方向の荷重を測定するロードセルが設置されており,タイヤと路面間の摩擦係数が測定できる.同一の路面に対し,同測定装置で測定した摩擦係数と,実車の測定結果とを比較して,その妥当性を確認した.さらに,実車においては60km/時までの速度において,路面摩擦係数の測定が行えることを確認した. その他,測定方法として,従来の測定方法を基に,タイヤの複数位置のひずみから実時間で路面摩擦係数を測定可能な方法を確立した.シミュレーションではあるが,同方法によって精度良く摩擦係数が測定可能であることを確認している.また,タイヤのひずみの平均値などを用いることで外乱などの影響を受けにくいロバスト性の高い測定方法も確立している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実車を用い,約60km/時の速度までにおいて路面摩擦係数の測定が可能であることを確認した.また,測定値の妥当性を確認するために,牽引式の路面摩擦係数測定装置を製作して,同装置による測定結果と実車による測定結果とを比較して,定量的に妥当な値であることを確認した.また,実車の加減速,車重,タイヤの回転数などからも,測定値がほぼ妥当であることを確認できた. 測定方法に関しても,これまでの方法を基に,応答性の高い方法,ロバスト性の高い方法をそれぞれ確立することができ,実車走行時に路面摩擦係数を実時間で,かつ,安定して測定するための基礎を構築することができた. 走行模擬装置においては,昨年度までの結果を基に,高荷重で実験が可能なスリップ率調整機構を製作し,様々なスリップ率で実験を行うことを可能とした. 以上のように,提案するインテリジェントタイヤの実用化に向けて着実に成果をあげており,進捗状況は良好である.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,実時間で摩擦係数が測定可能な方法と,応答性は低いが安定した測定が可能な方法とを組み合わせた,実用的な測定方法を確立する.すなわち,タイヤの複数箇所のひずみから各時刻での路面摩擦係数を測定するとともに,特定箇所のひずみの平均値などから,一定間隔で精度の高い摩擦係数を測定して,両者を比較することで安定した測定を可能とする手法を提案する. 次に,これまでに構築した実車におけるタイヤ側面ひずみの測定系に,データの処理系を追加し,以上で提案した測定方法を組み込み,実時間での路面摩擦係数の測定を可能とする.同実験車両にて,様々な状況下における複数の路面で摩擦係数の測定を行い,その実用性を示す. さらに,現行装置に比べて高荷重が負荷可能であるとともに,これまでに製作したスリップ率調整機構,また,キャンバ角可変機構を設けた走行模擬装置を開発して,走行条件などが摩擦の測定に及ぼす影響を明らかにするとともに,タイヤの形状などと変形挙動との関係を明らかにし,実験式を決定する,より簡便なインテリジェントタイヤの校正方法の提案,さらに,路面摩擦係数の測定精度の向上を検討する.
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