2017 Fiscal Year Annual Research Report
Shape optimization of Thermal-Fluids Systems by Learning from Vascular Network Remodeling
Project/Area Number |
17H03170
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 洋介 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (30396783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 行子 (津田行子) 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (00533663)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 流体工学 / 熱工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス網膜の共焦点顕微鏡により得られた画像から3次元の毛細血管網構造を再構築し、これを研究室にて開発された流体シミュレーションに取り込むことに成功した。動脈における典型的な血流の速さや血液の粘性係数を過去の文献から決定し、血流シミュレーションを実施した結果、動脈から静脈までの血圧差や血管内壁にかかるせん断応力が過去の文献値とも良い一致を示していることを確認し、開発した計算コードの検証を行った。一方、血流による酸素輸送を解くコードの開発も同時に進め、過去の文献値に基づき、血液中や組織中における酸素の拡散係数、細胞内での酸素消費率を決定し、これを流体シミュレーションへ反映させた。以上より、3次元血管構造を用いて血流シミュレーションを実施し、本研究課題で必要となる局所の力学因子(せん断応力、圧力、酸素濃度、酸素フラックスなど)を推定するフレームが構築された。 実験においては、マウス網膜の共焦点画像から、リモデリング前後の血管構造を抽出する方法を確立し、これによって、数値シミュレーションにより推定される局所の力学因子とリモデリングの関係性を明らかにするための新しい方法論を提案した。 一方、マイクロデバイス内で血管内皮細胞を培養し、血管新生を生じさせるために、様々に細胞の培養条件を変えた実験を行い、最適なパラメータ範囲を同定した。更に、マイクロデバイス内で生成された血管網の共焦点顕微鏡画像から3次元構造の再構築を行い、得られた血管構造を流体シミュレーションへ取り込み、せん断応力や圧力の推定が可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、顕微鏡画像からの3次元血管構造の再構築、およびその流体シミュレーションへの取り込みが行われ、得られた計算結果についても、過去の文献値と良い一致が得られている。また、マイクロデバイス内における血管新生の再現についても、血管内皮細胞の最適な培養条件や初期流路の配置などが明らかになり、再現性のある実験条件を見出すことに成功している。更に、マイクロデバイス内における多数の共焦点顕微鏡画像から3次元血管構造を再構築し、それを流体シミュレーションに取り込むことにも成功しており、当初予定してた目標を達成できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス網膜の血管網については、これまで単一のサンプルでの流体計算を行ったのみであったため、今後は、複数のサンプルに対して流体シミュレーションを適用し、血管網リモデリングと局所の力学因子の統計的な関係性を明らかにする必要がある。また、マイクロデバイス内における血管新生の再現実験についても、より多くのサンプルを扱って、構築される血管網の分岐や血管径などに関して、定量的な解析を行い、デバイス内で構築される血管構造の再現性を確認する必要がある。更に、血管構造の再現性が確認された後には、液体中にマイクロビースを混入させることにより、血管網内部の流体速度を計測し、これと数値シミュレーション結果を比較することによって、本研究で構築した数値計算ツールの検証を行う予定である。
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