2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the effects of boundary geometry in rarefied gases
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17H03173
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 滋 京都大学, 工学研究科, 教授 (60271011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 智清 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (90448168)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ボルツマン方程式 / 希薄気体 / すべり流理論 / 特異性 / 速度分布関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究の進展は以下の通りである. 1) 境界近傍の特異性を示す数値的実例を計算規模を大きくして補強している.これは既発表の一般理論(Takata & Taguchi, Journal of Stat. Phys. 168, 1319 (2017))で取り上げた数値例の補強を目的とする.多倍長計算が必須となり忍耐のいる取り組みが続いている.昨年度から継続中で未完了. 2) 前年度に引き続き,マグナス効果に関連して回転球により誘導される流れの問題を線形理論の枠内で解析・数値解析した.球形という単純な境界形状で理論的予測のとおりの特異性が発現することを実証した.また,Maxwell型境界条件を効果的に用いて,この特異性が境界上の速度分布関数の不連続性に関係することを定量的に示した.その成果は学術誌に掲載されている(Taguchi, Saito & Takata, J. Fluid Mech. 862, 5 (2019)). また田口により国内外の講演会でも報告されている. 3) 一般化すべり流理論を補強する目的で,Shakhov模型に対するデータベースの整備を進め,第31回希薄気体国際会議で発表した(会議録論文を投稿中).これにより標準型ボルツマン方程式(剛体球分子模型),BGKモデル,ESモデル,Shakhovモデルという,現在,最も普及している運動論方程式に基づくデータ整備が完了した. 4) 音響領域の現象を扱う一般化すべり流理論の構築に着手した.ここでは 3) で整備したすべり係数などのデータが活用できる.バルク領域の現象を記述するEuler型方程式に加え,音響境界層の支配方程式,気体論的境界層の構造を解明しつつある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
境界上の特異性を取り入れたすべり流理論の新しい構成法は,部分的にしか成功していないが,本研究計画の骨子である境界特異性の一般理論の枠組みづくりには成功し,それを検証する数値実例も挙げられている.また,得られた知見をもとに従来のすべり流理論の強化と拡張も行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
一部の数値解析において計算機環境が不足気味で環境整備が必要になった.この環境整備により,本年度までに完了していない多倍長計算を要する数値的実例の強化を継続する.
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