2018 Fiscal Year Annual Research Report
Simultaneous temperature and velocity visualization of a gaseous flow over 1000 centigrade
Project/Area Number |
17H03177
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
染矢 聡 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究グループ付 (00357336)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 流体計測 / 可視化 / 温度 / 蛍光体 / 燐光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,1000℃の高温ガスの温度と速度の分布を同時に可視化計測する技術を開発する.赤熱光の強くなる500℃~1000℃の温度範囲で,広範な流速条件,任意の気体に適用可能とするため二色燐光法とPIVを組み合わせた温度速度同時可視化を実現する.一般的なPIV法同様に蛍光体粒子を僅かな時間間隔で二回励起,撮像して粒子移動量から速度を求め,各励起直後の燐光スペクトルの二つの波長帯の強度比から温度を求める(二色燐光法)ことにより,温度速度を同時に可視化計測する.蛍光体粒子の光学特性を1500℃までの範囲で評価するとともに二波長分光ユニットの最適化を行い,時間分解能6μsを達成する.壁面衝突噴流の基礎実験によって開発手法の測定精度・適用可能範囲を評価する. 初年度に続き青~緑の波長成分の発光特性が強い温度依存性を示す蛍光体種を探索した.ナノサイズの青・緑・赤の蛍光体粒子を数種類入手して燐光スペクトルおよび燐光寿命の温度依存性を評価した結果,粒子径約5μmの通常の蛍光体に比べて明るさは60%ほどに低下したものの,強い温度依存性を示す粒子を2種類発見した.これらの蛍光体粒子の燐光寿命は短く,高い時間応答性が求められる計測に適していることがわかった.また,発光強度が暗いため1150℃以上での特性を得ることはできていないが,1000℃の温度変化に対して燐光強度が5000倍ほど変化することが分かった.これらの粒子は浮遊性も高く,トレーサー粒子として有望である可能性が高い. 固体酸化物形燃料電池セルの反応度分布や残存ガス,漏洩ガスの挙動を評価するため,セル表面に緑色蛍光体膜を形成し温度分布を評価した.その結果,セル内の細孔にガスが残存し,過渡的に想定以上の反応が進むことが分かった.また,継続的な最適化が必要であるものの,温度速度計測のためのGUI付解析ソフトが完成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に続き青~緑の波長成分の発光特性が強い温度依存性を示す蛍光体種を探索した.ナノサイズの青・緑・赤の蛍光体粒子を数種類入手して燐光スペクトルおよび燐光寿命の温度依存性を評価した結果,粒子径約5μmの通常の蛍光体に比べて明るさは60%ほどに低下したものの,強い温度依存性を示す粒子を2種類発見した.これらの蛍光体粒子の燐光寿命は短く,高い時間応答性が求められる計測に適していることがわかった.また,発光強度が暗いため1150℃以上での特性を得ることはできていないが,1000℃の温度変化に対して燐光強度が5000倍ほど変化することが分かった.これらの粒子は浮遊性も高く,トレーサー粒子として有望である可能性が高い.今後さらにトレーサーとしての機能を評価することが重要である. 固体酸化物形燃料電池セルの反応度分布や残存ガス,漏洩ガスの挙動を評価するため,セル表面に緑色蛍光体膜を形成し温度分布を評価した.その結果,セル内の細孔にガスが残存し,過渡的に想定以上の反応が進むことが分かった.また,継続的な最適化が必要であるものの,温度速度計測のためのGUI付解析ソフトが完成した.これにより,本研究成果の計測システムを高温エネルギーシステムの高効率化試験へ適用する準備が概ね整った.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにハードウェアを実装し,GUI付き解析ソフトを作成した.今後さらに固体表面の温度測定を通じて,ソフトウェア最適化を継続する.この固体表面温度計測ではナノサイズの蛍光体粒子を用いて,できる限り薄く,一様な膜の作成方法を開発する. ナノサイズの蛍光体粒子を用いて,気体流れの温度速度の同時計測を行う.非常に暗いことが想定されるものの,数密度の高い状態で噴霧すると二次元計測が困難となるため,事前に試験条件の最適化を行う. その後,蛍光体粒子を僅かな時間間隔で二回励起,撮像して粒子移動量から速度を求め,各励起直後の燐光スペクトルの二つの波長帯の強度比から温度を求める(二色燐光法)ことにより,壁面衝突噴流の速度,温度分布を可視化計測する.分光波長条件によって温度感度が変化すると考えられるため,二波長帯の選択の最適化を行う. ナノ粒子蛍光体の場合は燐光強度が極めて小さくなると思われるため,シグナルノイズ比改善のため,ソフトウェアを含めて全体システムの最適化を行う.
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Research Products
(4 results)