2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of high-sensitivity force measurement system using multi-degree-of-freedom zero-compliance mechanism
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17H03188
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
水野 毅 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (20134645)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 機械力学・制御 / 力学量計測 / メカトロニクス / 計測工学 / 超精密計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度に開発した3自由度の3角形ヒンジとリニアアクチュエータを組み合わせた3自由度ゼロコンプライアンス機構の性能評価を行った.さらに,並進・回転分離型ゼロコンプライアンス機構を利用した力測定装置の開発を行った. (1)力測定装置の性能評価 カンチレバー先端に法線方向の力を作用させて,そのときの検出点の変位と角度から作用力を推定する実験を行った.つぎに,作用力を減少させて同様な測定を行った.この結果に基づいて,開発した力測定装置の直線性・分解能などの静特性を評価した.つぎに調和外力を作用させて,周波数特性を取得し,力測定装置の動特性を評価した. (2)並進・回転分離型ゼロコンプライアンス機構を利用した力測定装置の開発 平成29年度に開発した力測定装置では3角形ヒンジとリニアアクチュエータを組み合わせた3自由度ゼロコンプライアンス機構を利用していた.その特性評価を行った結果,線形性が良くないなどの問題があることが判明した.そのため,これに替わる構造の3自由度ゼロコンプライアンス機構を新たに開発した.3リンク型の問題点を踏まえ,カンチレバー,検出点支持機構,作用点と検出点の3方向変位センサ,検出点を変位させるアクチュエータから構成される装置を設計・製作した. (3)制御系の実装と測定性能の評価 作用点変位を積分フィードバック制御することにより,カンチレバー式ゼロコンプライアンス機構を実現した.この装置において,カンチレバー先端に法線方向の力を作用させて,そのときの検出点の変位と角度から作用力を推定する実験を行った.実験の結果,検出点の回転角と測定対象となる力との間に良好な線形性があることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に開発した力測定装置は3角形ヒンジとリニアアクチュエータを組み合わせることによって3自由度ゼロコンプライアンス機構を構成していたが,その特性評価を行った結果,線形性が良くないなどの問題があることが判明した.このため,新たに,並進・回転分離型ゼロコンプライアンス機構を利用した力測定装置の開発することとし,その設計・製作を行った.新たに開発した装置の特性を評価したところ,検出点の回転角と測定対象となる力との間に良好な線形性があることが確認できた.この結果は,当初目標としていた力測定装置を実現する上で非常に重要な知見である.このような成果が得られたことから,順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)平成29年度に開発した3自由度の3角形ヒンジとリニアアクチュエータを組み合わせたゼロコンプライアンス機構を利用した力測定装置と,平成30年度に開発した並進・回転分離型ゼロコンプライアンス機構を利用した力測定装置との性能比較を行い,最適な構造を見出す. (2)(1)で総合的に性能が良かった装置において,法線方向及び接線方向の2次元力の検出実験を行う.具体的には,作用点に法線方向の力(法線力)に加えて接線方向の力(接線力)を作用させる.作用点の位置及び角度が所定の値に保たれているとすると,接線方向の力が作用しているので,カンチレバーのたわみの形状が変化し,その結果検出点の変位及びその角度も変化する.したがって,検出点の変位及び角度から法線力及び接線力を同時に推定することができる.このような発想に基づいて,2次元力の測定を実現する.具体的には,作用点に作用する力の方向を様々に変化させて測定を行い,直線性・分解能やヒステリシス誤差などの基本特性を把握する.特に,駆動ユニットの形状から力を推定する方法と制御入力から力を推定する方法とで得られる精度の比較を行う.さらに,軸間干渉の大きさについて調べる. (3)試作した装置で高感度の分力測定ができない場合には,カンチレバーの構造を変更する.その一つとして,二つのカンチレバーを組み合わせた多段カンチレバーを用いて接線方向の支持が低剛性となるようにすることを試みる. (4)作用点を支持するカンチレバーにねじれの自由度を与えることによって,作用点に作用する3次元力を測定することができる3分力測定装置を開発する.
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