2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a chromosome analysis microchip for rapid evaluation of telomere length related to aging and canceration
Project/Area Number |
17H03196
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鈴木 孝明 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (10378797)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / 知能機械 / マイクロナノメカトロニクス / MEMS |
Outline of Annual Research Achievements |
老化や細胞のガン化と染色体末端部のテロメアの長さには密接な関係があり、テロメラーゼを標的とした抗がん剤の開発や、細胞にテロメラーゼ活性を与えて老化を防ぐ研究などが進められている。これらの研究においてテロメアの機能解析を行うために、テロメア長を簡易かつ正確に測定し、絶対評価ができる技術が有用である。本研究では、細胞から取り出した染色体そのままの分子配向と形状を簡易に観察することを目的として、特殊な微細加工を施した樹脂製ディスポーサブルマイクロチップを新たに提案し、単一のチップ上で、遠心力により、細胞の固定から、染色体の抽出、伸張、懸架、解析までのすべての手順を半自動で行う。回転のみの簡単な操作で、染色体そのままの特定部位の長さを従来にない高分解能で高速観察を行う。 本年度は、初年度に構築したモールディング加工法により、チップを大量作製し、伸張染色体の特定部位として、テロメア長などの計測を行った。さらに、評価結果に基づいて、実験結果と有限要素法を組み合わせたチップの最適化を開始し、合わせて、最適 化の結果に基づいて、マスクパターンの修正を行いながら、チップ評価を継続している。 また、初年度に派生技術として新たに提案した特殊な構造を組み込んだ、細胞アレイとエネルギーハーベスタの定量的評価を行い、単一細胞の固定効率、および、把持継続性、ならびに、微細構造の加工寸法精度について計測し、微細構造の有用性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度は、鋳型加工に使用していた酸素アッシング装置に不測の故障が生じたため、当該装置の修理・調整が必要となり、学内の類似装置を借用する代替措置をとった結果、計画した実験の完了までに、2ヶ月を余分に要した。そのため、経費の一部を繰り越し、期間を延長した結果、当初予定を達成することができた。 その結果、構築したモールディング加工法により、チップを大量作製し、染色体伸張実験を多数実施できるようになり、定量的な結果が得られるようになってきた。最終年度の研究成果が期待できる。また、提案した加工技術の派生技術として、特徴的な構造を組み込んだ、細胞アレイとハーベスタを提案し、その有用性の検証を開始し、成果発表が複数得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、構築したモールディング加工法により、チップを大量作製し、伸張染色体の特定部位として、テロメア長などの計測が可能であることが分かった。一方で、その精度は不十分であり、伸張が遠心力を用いているため、ランダム性が高く、チップ上で計測できる数が少なく、再現性が不十分であることが分かった。そこで、本年度は、再現性向上を目的にして、チップ上での細胞懸濁液の滴下位置から細胞固定構造アレイまでの細胞の移動に着目して、細胞固定構造の最適化に取り組み、観察数増加による再現性の評価に取り組む。
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