2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H03198
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米谷 玲皇 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (90466780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 悦男 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (60644599) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / 微小共振器 / フォトニック結晶 / 機械材料・材料力学 / 光物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、微量量ガスの検出,識別を実現する、“分子識別ナノメカニカル素子”の創出を目的としている。微量物理量に対して、超高感度性を有するナノメカニカル振動子上に、光制御性に優れたフォトニック構造体を設置し、光スペクトロメータ-を実現することにより、ガス分子の検出,識別を目指している。フォトニック構造体により吸光波長を任意に変調し、ガス分子との作用による各々の波長での光強度をナノメカニカル振動子により計測、この光強度を連続的につなげることで光スペクトル取得し、このスペクトルより分子識別を行うというのが有効な検出,識別原理になりえると考えている。今年度は、この達成の足掛かりとなる吸光波長の変調を実現するフォトニック構造、高感度光強度計測のための極微細ナノメカニカル振動子構造について検討を行った。フォトニック構造体については、解析的アプローチにより、Auからなる半透鏡,全反射鏡からなる光共振器構造を利用することが、吸光波長任意制御のための有力な手段になりえることを見出した。具体的には、その手段の一つとして、半透鏡を静電力により電気的に制御し、半透鏡-全反射鏡間の光路長を変調さることが、吸光波長制御に有効であることがわかった。また、極微細ナノメカニカルについては、その作製プロセスの検討、試作を行った。結果して、集束イオンビーム化学気相成長法,アニール処理,ウエットエッチング等を組み合わせやプロセスにより、膜厚サブ10 nmスケールのナノメカニカル振動子の作製が可能であることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガス分子の検出,識別を実現する上記原理の新たなデバイスの実現には、光スペクトル形成のために、光の吸光波長を制御するための“フォトニック構造体”と、光強度を高感度に計測するための“ナノメカニカル振動子”が必須である。フォトニック構造体については、吸光波長制御のために、主に解析的手法を用いて、デバイス構造設計を固めるための機能性についての基礎的検討を行った。結果として、優れた吸光特性,吸光波長の制御を実現する有力な手段の一つとして、Auからなる半透鏡,全反射鏡からなる光共振器構造を利用し、これを稼働させることが有効であることを見出した。これは、今後のデバイス試作を進めるための方針となるものである。また、ナノメカニカル振動子については、上記のとおり膜厚がサブ10 nmスケールの振動子を任意に作製できることを実験的に実証した。ナノメカニカル振動子の微細さ,軽量さは高感度素子達成のための重要な要素であり、本研究の成果は、高感度な光強度計測実現を期待させるものである。そのため、現在の進捗として、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの研究により得られた知見をさらに発展させ、ガス分子の検出,識別を実現する新たなデバイス創出に向け、研究を進める。吸光波長の任意制御を実現する“フォトニック構造体”については、Auからなる半透鏡,全反射鏡からなる光共振器構造を基本構造とし、静電力により半透鏡を稼働させることで半透鏡-全反射鏡間の光路長を変調する素子の試作を進める。これにより吸光波長の制御を試みる。また、同様に、Au半透鏡,Au全反射鏡からなる光共振器構造を基本とし、光の偏光も活用したデバイス構造を有するフォトニック構造体についても検証する。これにより優れた吸光特性,吸光波長制御を目指す。極微細ナノメカニカル振動子については、集束イオンビーム技術をベースとする極薄膜形成プロセス,極微細化プロセスのさらなる検証を進めるとともに、高感度光強度計測に向け、極薄膜の膜質,及び共振特性の評価を行う。これにより高感度ナノメカニカル振動子達成のための基礎的知見,ノウハウを蓄積する。
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Research Products
(6 results)