2019 Fiscal Year Annual Research Report
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17H03198
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米谷 玲皇 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (90466780)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / 微小共振器 / フォトニック結晶 / 機械材料・材料力学 / 光物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、光スペクトルを利用した微小量ガスの検出・識別に向け、様々な微小物理量を振動を介して高感度に検出可能な“ナノメカニカル素子”と光吸収など光制御性に優れた“フォトニックナノ構造”を融合し、光スペクトルを検出可能なデバイスの創出を目指している。 今年度は、微小量ガスの検出のための光スペクトルの計測のために、光スペクトル計測デバイスの試作、およびこれを用いた光スペクトルの計測の試行を試みた。具体的には、光吸収における波長選択性をデバイスに付与するためのフォトニックナノ構造として、構造のピッチ等により吸収波長を選択可能なブルズアイナノ構造をベースとし、構造のピッチを連続的に変化させ広い波長帯に適用させたスパイラルブルズアイ構造を採用し、この中心に円形の薄膜振動子を配置したデバイスを試作した。スパイラルブルズアイ構造の任意位置に光を照射し、光波長と対応するピッチのブルズアイ構造上に光が照射された場合のみ、中心に配置した振動子に光(熱)が作用し、振動子の共振特性の変化により光強度が計測される。そのため、スパイラルブルズアイの各位置(各吸収波長)での光強度を連続的に測定していくことで、光スペクトルの形成が可能である。本研究では、1.5 μm帯の波長可変レーザーを計測対象として用い、その光スペクトルの計測を試みた。結果として、デバイスは照射光波長に応答し、試作したデバイスが光スペクトル計測デバイスとして機能することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記したとおり、本研究では、光スペクトルを利用した微小量ガスの検出、識別にむけ、光スペクトル計測可能なデバイスの創出を目指している。この目的において、レーザー光を利用した光スペクトルの計測を試行し、光スペクトル計測のためのデバイスとして機能することを確認している。この結果は、本研究で提案したスパイラルブルズアイ構造と円形振動子を融合したデバイスが、光スペクトル形成に必要である“任意波長における波長フィルター”及び“光強度計”としての機能を有していることを示している。以上のことから、目的に対して着実に成果を得ており、本研究は、概ね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果により、試行的に、スパイラルブルズアイ構造と円形振動子を融合したデバイスにより照射光の光スペクトルを計測可能であることを確認した。今後の研究,推進方策として、より精密な光スペクトルの計測を狙い、特に、光吸収を制御するためにキーとなるスパイラルブルズアイ構造の高度化をすすめる予定である。具体的には、ブルズアイ構造のさらなる形状最適化や構造材料の最適化を行ない、スパイラルブルズアイ構造の光吸収性の向上を目指す。
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Research Products
(7 results)