2018 Fiscal Year Annual Research Report
油圧ハイブリッドサーボブースターによる多機能ロボットの構築と最適制御
Project/Area Number |
17H03208
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
玄 相昊 立命館大学, 理工学部, 准教授 (30344691)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ロボティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
1.最適制御: 昨年度に引き続き、4つのバルブを同一の汎用比例弁とした基本回路を具体的な研究対象とした、制約付き線形最適制御を検討した。昨年度の10トンスライダーの油圧回路モデル化の成果に基づき、今年度は非線形モデル予測制御(MPC)の実時間実装のためのアルゴリズムの調査と選定を行った。その結果、Diehliらが公開しているアルゴリズムが有効と判断されたため、保有する縦置きのスライダー装置の開回路位置決め制御に実装した。ただ、通常の機械系と異なり、油圧系のダイナミクスが速いので、シミュレーションは問題なく動作するが、実時間コントローラがサポートする最小単位(1ミリ秒)の実装では予測が破たんすることがわかった。
2.ロボット適用: まず、既存の3軸マニピュレータの根元関節の精密制御、力制御について集中的に検討を行った。リジェクトされた国際会議論文の査読内容を精査し、いくつか不足しているデータを追加した。具体的には、閉回路モードの片ロッドシリンダー適用時に発生する過負荷・流量不足の問題について昨年度見出したアルゴリズムを応用し、増圧モードにおける同様の過負荷防止策を見出し、位置軌道追従制御、トルク制御ともに、実機実験によって有効性を確認した。さらに、閉回路からブーストモードへの移行方法についても着手した。この結果を欧文ジャーナルRALに投稿し、採録された。 次に、産業ロボットと同様の3次元空間上のP-T-P制御などのデモを行うため、3軸ロボットのベースに旋回軸を追加し4軸ロボットとする大改造を行った。また、残された課題である、開回路での高速駆動制御方法を実験的に検討するために、壊れても容易に修理可能な単軸のロボットアームを設計製作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
設定した課題の全てに着手し、一定の成果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.上述の1.で述べたMPCの実装は困難と判断されるため、油圧ダイナミクスを最適化から切り離し、力と速度の制約として定式化し、通常の非線形機械系としての枠組みを検討する。昨年度に試作した単軸ロボットアームに適用して有効性を実証する。
2.4軸ロボットの全軸制御デモを実施する。昨年度と同様に、本油圧回路が持つ特有の問題を解決する方法を実験的に検討し、都度論文にまとめる。特に旋回軸の油圧モータ導入に伴い、出口のバルブをリリーフ弁に置き換えた基本回路を検討する。
3.脚ロボットへの適用については、昨年度に別プロジェクトで構築した3軸ロボットを用いて、衝撃吸収制御や重心制御に応用する。
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